この事件でも吉沢さんと家宅侵入された被害者の間では示談が成立しています。被害者が隣の家の住民だったことで不安を覚えるだろうということもあり、吉沢さんはすでに引っ越しもされています。

 誠心誠意、自分が引き起こしたことに向き合っているということですが、ここでも再三申し上げるように、重要なことはそのことを一般の視聴者がどう感じるかです。

 飲酒がきっかけの今回の一件では、吉沢さんのタレントとしての価値は一定レベルで低下したことは経済的には間違いないと思われます。ではその程度はどのようなものでしょうか。

 酒を飲んで問題を引き起こした他のタレントの例では、飲酒運転で事故を起こしたケースでは世の中の批判は非常に大きいものです。たとえ結果的に無事故で済んだ場合でも、重大な人身事故を起こしてしまうリスクをわかったうえで飲酒運転したこと自体が視聴者の嫌悪感を引き起こします。

 飲酒のうえでの暴力沙汰も批判されます。酔っぱらってタクシーの運転手を蹴ったアナウンサーが干されたことがありましたが、視聴者の心情を考えたら妥当な処分でしょう。

 べろべろに酔っぱらってSNSで暴言を吐いた芸人さんがあとから謝罪したケースでは、暴言を吐かれた側が許しても世論的には許してもらえなかったようです。酔った上での発言はある意味、本音ですから、世の中の人は「そういうことを考えている人なんだ」と感じてしまうのです。

 それらの事件と比較すれば今回の吉沢さんの事件は、事件性はあっても悪意は小さいと捉える人も多いかもしれません。

 過去の例でいえば草彅剛さんが泥酔して公園で全裸になった事件がありました。CMは休止され、活動自粛もしましたが、その事件自体では草彅さんのタレントとしての価値はそれほど棄損しませんでした。

キャンセルカルチャー自体にも
「行き過ぎ」の懸念がある

 さて、不祥事があったタレントを否定するキャンセルカルチャー自体にも「行き過ぎ」の懸念はあります。