特にメディアで活躍しているわけでもない人の場合、「ハニートラップ」を警戒するかわりに「やばい女」を警戒する。女には割り切って大人の遊びを共有する都合の良い愛人と、騒いだりバラしたり家庭を壊したりする都合の悪い愛人の2種類がいると思っているのか、前者と遊んだ気になって、すっかり安心している人が多いのだ。
しかし女が生まれつきに2種類なわけもなく、実際は1人の人間が如何様にも変化しながら、時に都合が良くなったり悪くなったりする。もちろんそれは男の勝手な立場から見た女の姿であって、別に男の都合のよし悪しのために変化するわけではなく、当然女は女で身勝手に自分の幸福や快適を追求しているのだが。
さて、先の弁護士の言葉はやや不思議に思えるかもしれない。厳密に言えば「全ての愛人」が告白するなんてことはないし、浮気しても無傷でのうのうと幸福な家庭を守りつつ、愛人の告白に苦しむことなく生き延びている男はわんさかいる。しかしよく聞いてみると実は真実が含まれる。「傷ついた愛人」は自分の不貞を晒してでも、男の罪を告発するのだ。
夜の街で働いていた頃から、遊び人の男は文字通り数え切れないほど見てきたが、そのことによって家庭が壊れたり、トラブルに巻き込まれたり、財産を失ったりした人というのはそう多くはない。
「割り切ったエロい女」が
男を脅す「やばい女」に変貌
思い出すのは、たとえば恵比寿の飲み会で出会った代理店マンのヤマダ(仮名)さん。小学生と2歳くらいの子供がいて、仕事は結構精力的に取り組んでおり、夜は毎週2回は後輩が集めた女性たちと飲み会、うまくいけばそのままラブホテルに行って、深夜のうちに帰宅、「どんなに遅くなっても朝は必ず8時半までには会社に行くのが俺のポリシー」となぜか偉そうに言っている人だった。「女の子は眠そうならそのままラブホ使っていいよって言ってあげるよ」とまたなぜか恩着せがましいことも偉そうに言っていた。