また、「関係者の実名が出る恐れがある」との理由で会見終了まで一切の報道が許されなかったという。
トップ出席の緊急会見は、オープン参加として記者クラブ限定とせず、質問者も限定しないというのが当たり前の“作法”だ。不祥事へ向き合う会社としての真摯な姿勢を、社会へ広く伝えるための場であるから当然のことだろう。
“排除”されたメディア側だけでなく、緊急会見を要請した記者クラブ側も納得しなかった。とりまとめ役の幹事社は会見の最後で、「オープンな形で開催してほしいとお願いしていた。今回の開催に関して非常に残念だと感じる」とコメントしたという。
フジテレビ側の説明は、記者クラブの要請に応じて2月予定の定例会見を前倒しただけ、というスタンス。出席者を限定したのは当然だと言わんばかりだった。
危機管理的には手痛いボタンの掛け違いだ。
会見の前々日の1月15日、フジテレビはメディアに対し、「昨年より外部の弁護士を入れて事実確認の調査を開始しており、今後の調査結果を踏まえ、適切な対応をしてまいります」とコメントを出していた。
それまでは、文春記事は事実でなく社員も関与していない、と全面否定だった。会社側の責任を一転、認めるかのようなニュアンスであったため、翌日に会見実施がアナウンスされると、メディアは色めき立った。
メディアは緊急会見の“作法”に則った広報対応を期待して会場へ集まったが、説明の通り裏切られたかたちになった。記者たちが怒るのも無理はあるまい。
港社長は結局、一時間半以上にわたりメディアの厳しい追及を受け、経緯の説明が遅れたことをわびた後は、「調査中であり回答を控える」の一点張りで逃げ回るばかりだったという。
荒れる報道で
総務省も注視
メディアの怒りを買った会見は荒れる。報道もエスカレーションしがちだ。
スポーツ紙で「約100分の会見で『回答を控える』30回超」(スポーツ報知)などと港社長の応答が焦点となったのをはじめ、テレビ各局もフジテレビ批判一色となった。これを受けてSNSも揶揄する投稿であふれた。