フジテレビがトラブルを1年半も放置できたカラクリ
東証プライムに上場しているフジ・メディアHDが、子会社フジテレビにおける中居氏と元社員女性のトラブルを1年半も放置できたのは、取締役クラス以上の経営メンバーが密室で意思決定し、従業員の意見をつぶす組織文化があるためであろう。
フジ・メディアHDのコーポレートガバナンス報告書によると、取締役の数は17人、社外取締役は7人である。
取締役の数は同じ民放テレビ局であるTBSHDの10人、日本テレビHDの10人に比べても7人も多い。他の業界を含めても、フジ・メディアHDは取締役数の多さが目立つ。役員の数が多いということは、しがらみが多く企業体質の改善が進みにくい懸念があるともいえる。
フジ・メディアHDの全取締役に占める社外取締役の割合は17対7で、24%である。社外取締役の面々は、航空会社の元会長、証券会社の元会長も選任されているが、今回の問題を受けて単独CMを差し止めしたキッコーマンの名誉会長や、さらに文化放送や産経新聞などグループ企業からも選任されている。
TBSHDの場合は、取締役10人中、社外取締役は4人で、社外取締役が40%も占めている。それもリクルート元社長や鉄鋼産業出身のヘルスケアメーカーの経営陣、DeNA元会長、ソニーグループの法務畑出身の幹部経験者などである。
日本テレビHDの場合は取締役10人、社外取締役6人で60%も占めている。財務省出身の元高官や元病院経営者、不動産会社会長、グループ会社、株主に関係する社外取締役も多い。
いずれも独立性が低い社外取締役やグループ会社出身者もいるが、取締役に占める割合はフジ・メディアHDより高い。