つらい体験をしたからこそ
人に優しくなれるはず

 まわりの人や社会のために、あなたができそうなことを考えてみるのもいいでしょう。意識して探してみると、身近なところで、自分が役に立てることがあるかもしれません。

 とくに難しいことをしなくても、あなたの存在そのものや、ちょっとした気配りが、だれかの大きな助けになることもあります。

 つらい体験をしたあなたなら、つらさや苦しみを抱えた人の気持ちに深く寄り添うことができるのではないでしょうか。

 同じような経験をした人同士であれば、多くを語らずともわかりあえるところがあります。

 ただ、覚えておいてほしいこともあります。それは、似たような経験をしていたとしても、それぞれの体験は個別性が高いということ、それぞれの想いを尊重するということです。

 それぞれの人の想いを大切にしながら、どのように自分の経験を活かして、その人たちの力になれるのかを考えてみてください。

書影『もう会えない人を思う夜に 大切な人と死別したあなたに伝えたいグリーフケア28のこと』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)『もう会えない人を思う夜に 大切な人と死別したあなたに伝えたいグリーフケア28のこと』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
坂口幸弘・赤田ちづる 著

 自分の経験は、けっして無意味ではなかったと感じられることもあるでしょう。ボランティアなどの活動は、ほかの人や社会のためであると同時に、自分自身のためのものでもあるのです。

 だれかに必要とされることは、これからを生きていくうえでの自信になります。人や社会のために、何かに取り組むことをとおして、さまざまな人との新たな交流や、新しい自分の居場所ができます。

 ともに生きていく仲間ができ、そのつながりによって自分も支えられます。

 自分のためだけでなく、だれかのために自分にできることを積み重ねていくことが、新たな目標や生きがいを生みます。そして人生に希望を見いだすことにきっとつながるはずです。

POINT あなたの存在が、ほかのだれかの生きる力になる