トヨタは、こうしたバックグラウンドを持つダイムラー・トラックと、その傘下の三菱ふそうと手を組むことで、商用車のCACE技術の開発とグローバル規模での商用車事業の強化によりカーボンニュートラルの実現と物流対応を行い、世界的に競争力のある日本の商用車メーカーを構築するものとしている。

 一方のいすゞは、20年にスウェーデンのボルボ・グループ(ABボルボ:トラック・バスの多国籍企業。乗用車のボルボ・カーズとは別会社)と戦略的提携を結び、21年にはボルボ・グループの子会社となっていたUDトラックス(日産のトラック子会社だった旧日産ディーゼル)を買収することで、大型トラックの強化を図った。さらに、ホンダとは燃料電池(FC)大型トラックの共同研究を推進し、EVトラックの開発に力を入れるなど、不正問題で揺れていた日野自に先行して成長路線を歩んでいる。

 日野自・三菱ふそうの統合協議については、例えばバス分野において、日野自がいすゞと合弁しているジェイ・バスと、三菱ふそうが持つ小型バス(『ローザ』)、大型バス(『エアロスター』など)のブランドをどう整理するかなどの具体的課題も抱えている。だが、いずれにしても、日本の商用車メーカーがこの大変革期に生き残っていくためには、2陣営に集約し競争力を付け、切磋琢磨(せっさたくま)することで成長軌道に乗せていくことが必要だろう。

 ホンダ・日産・三菱自の統合協議は、日産の早期の事業再生の成否次第で“ご破算”もあり得るが、商用車再編は今後、一気に進展しそうな勢いだ。

(佃モビリティ総研代表 佃 義夫)