日本でクルマを販売するために満たさなければならない条件とは?
日本とインドで共同設計し、インドで生産して日本に“輸入”している、スズキのコンパクトSUV「フロンクス」。前回(開発者インタビュー前編)は、「実は日本でクルマを販売するには、満たさなければいけない条件があ」り、その具体的な内容に入るところで終了した。
尻切れトンボのようなヒドい終わり方だったため、「続きはどうした!」「良い所で切るな!」と複数の抗議メールを頂戴した。大変申し訳ございません。早速、続きの部分からまいりましょう。
スズキ 商品企画本部 四輪B・C商品統括部 チーフエンジニア 森田祐司さん(以下、森):実は日本でクルマを販売するには満たさなければいけない条件があるんですよ。世界で売るクルマは、グローバルでキチンと通用するところと、日本専用にしなきゃいけないところとを切り分けながら、「この部分は絶対に外せないから、ちゃんと盛り込んでおこう」と詰めていくんです。
フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):それは大変興味深いお話です。ぜひ教えてください。
条件その1:ゴルフバッグ
森:例えばですね、ゴルフバッグです。ゴルフバッグを横向きに積めるようにする必要がある。
F:あ、それは聞いたことがあります。古い話ですが、初代ホンダNSXはトランク部分を後ろに伸ばして、小振りのゴルフバッグなら横向きに2つ積めるように設計したとか。もちろん空力性能の向上が主な目的だったのでしょうが、実は裏メニューとして「ゴルフクラブの横向き搭載」が設計条件に挙げられていた、と。
森:そう。かようにゴルフバッグの搭載は日本で売るには大事な条件なんですよね。だから各社とも無理やりにでも積めるようにと、いろんなもの省いて設計しようとする。でもそこはグローバルな視点から見ると、設計上の制約が増えてしまうので、フロンクスの場合はスパッと諦めました。