『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』といった著作が若者から支持されている田村耕太郎さん、そして、大学の授業でベンチャーファイナンスの授業も行っているファンドマネジャーの藤野英人さん。独自の視点を持つ2人に、若者がこれからの世界で生き抜くために必要なこととは何か、をテーマに語っていただきました。(全3回連載)
世界のエリートは
なぜ朝5時からトレーニングするのか?
藤野:田村さん、このところ短期間でとにかく本をたくさん出されましたね。中でも『世界のエリートはなぜ歩きながら本を読むのか』は、類書がありません。広い意味でいえば自己啓発本なのでしょうけれど、フィットネス的なところもあって。
田村:ありがとうございます。この本は、雑誌の「ターザン」での連載をベースに、最新のトレーニング理論も交えながら世界のエリートが実践する「最高のパフォーマンスを叩き出すコンディショニング術」を紹介しているんです。
藤野さんご自身はテニスやダンスもされるから、この本にあることは“釈迦に説法”で、すでに実感されていることばかりかもしれませんが…。私自身も運動をはじめてみて、気持ちがポジティブになったり、記憶力や思考力が以前より少しついてきたような実感があります。
アメリカのエリートたちって、それがよくわかっているんでしょうね。だから彼らはコンディショニングにすごく気を遣います。朝の5時にホテルのトレーニングジムが、人でいっぱいだったりするんです。
藤野:国内でも外資系ホテルの近くなんかでは、朝早くから外国の人が走っているのを見ることがあります。
田村:あの理由がよくわかりましたよ。いろいろ勉強することも大事ですが、身体を鍛えて、藤野さんのようにピアノを弾いて五感を鍛えて、朝から常にコンディションをよくしていったほうがいいのではないか。この本ではそれをお伝えしたかったんです。
藤野:ピアノの話でいうと、私は「ツイッターピアノの会(略称ついぴ)」というのをやっていて、全国で発表会もしています。TwitterやFacebookで仲間を集って交流を続けているのですが、おかげで北海道から沖縄までたくさん仲間ができました。
仕事とは違う脳を使うし、ふだんとは違う仲間と話をすることになるので、完全にリフレッシュができるんですね。だから、新たなチャレンジをしたい気持ちやアイディアがわいてくる。
そういった面でも、田村さんの書かれたことはまったくその通りだと思うし、身体を動かしたり、別の趣味を持ったり、新たなチャレンジをすることは大切だと思います。
仕事を人生のすべてにするな!
田村:世界のなかでいろいろな人と会ってきた経験からいうと、“デキる人”って仕事100%じゃないんですね。仕事に使う時間はせいぜい全体の3割か4割で、あとは家族との時間や趣味に使っているんです。ああいった時間の使い方は、日本の方々も参考にしたほうがいいと思います。
藤野:仕事に占める時間が全体の半分以下ですか。確かに仕事って生き様すべてじゃなくて、数ある大切な生き様のうちの一つにすぎないですからね。そういった考え方がこれから日本人にも必要になってくるんでしょうね。
田村:そうですね。私たちの人生は昔に比べて長くなってきていますよね。仕事にしても、定年退職が昔は55歳とか60歳だったのに、今や65歳や70歳まで働ける社会になっています。ですから、前のように「この仕事一筋で40年」とかではなくて、いろんな意味で三毛作・四毛作・五毛作時代になってくると思うんです。
極端な話、10年ごとに仕事を変えたり、仕事をしながら新しいことを学んで、その知識で新しい仕事を立ち上げていくことが求められる。定年したらあとは年金でというのではなくて、死ぬまで働くことがごく普通の生き方になる。それが、これから生きることになる時代といえます。
藤野:今まで以上に学び続けることが大切な時代になってくるということですね。