「あなたは人生というゲームのルールを知っていますか?」――そう語るのは、人気著者の山口周さん。20年以上コンサルティング業界に身を置き、そこで企業に対して使ってきた経営戦略を、意識的に自身の人生にも応用してきました。その内容をまとめたのが、『人生の経営戦略――自分の人生を自分で考えて生きるための戦略コンセプト20』。「仕事ばかりでプライベートが悲惨な状態…」「40代で中年の危機にぶつかった…」「自分には欠点だらけで自分に自信が持てない…」こうした人生のさまざまな問題に「経営学」で合理的に答えを出す、まったく新しい生き方の本です。この記事では、本書より一部を抜粋・編集します。
![【人生の戦略】同じ業界にいても「結果を残せる人」と「残せない人」の決定的な違いとは?](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/2/c/670/img_2c14982e688cb3ce1e8b79f26fe4c780260240.jpg)
「居場所の選択」で人生が全く変わる社会がやってくる
現実の社会はゼロ成長に近づいているのに、制度や規範は高成長の社会のまま、という「つなぎ目の社会」を生きるにあたって、特に問題になるのが「居場所の選択」です。なぜなら、ゼロ成長社会では、よほど戦略的な視点を持って自分の居場所を選択しないかぎり、選んだ居場所の成長率の期待値もまた、ゼロになるからです。
この指摘に対して、もしかしたら「成長の期待値がゼロになるのなら、逆に選択の巧拙は関係なくなるのではないか」と考えた人もいるかもしれませんが、それは正確な理解ではありません。
本書では、2010年代の日本の経済成長率は0.7%だったと指摘しましたが、産業小分類別にみてみると、直近10年のGDP平均成長率は、上はプラス7.83%の「電子部品・デバイス製造業」から、下はマイナス6.18%の「水産業」までと、かなりの幅があることがわかります。
つまり、ゼロ成長社会とは「成長・発展している場所」と「停滞・衰退している場所」との明暗が極端に分かれる社会のことなのです。このような社会では、当然ながら、個人の「居場所についての選択」、経営戦略論の用語で表現すれば「ポジショニング」が人生に大きな影響を及ぼすことになります。