誤解のある募集情報には要注意
カタリーナ「こんにちは!社労士のカタリーナです。今日はどんなご相談かしら?」
杉田「困ったことになりました。社員がSNSに投稿した求人募集の内容にかなり問題があって、闇バイトではないかなど、苦言を呈されてしまって……」
杉田はこれまでの経緯について、簡単にカタリーナに説明をした。
カタリーナ「なるほど。善意でやったつもりかもしれないけど、困ったことになったわね。それで、具体的にどんな書き込みをしたの?」
杉田「アットホームな職場で高待遇、圧倒的な成長を目指す人は連絡ください。詳しくはDMで……という感じで。しかも、目立つようにキラキラな飾り文字も多用していました」
杉田は、その投稿のスクリーンショットをカタリーナに見せた。
カタリーナ「あらら。これじゃ、とてもまともな会社の求人募集とは思えないわね」
杉田「問題の指摘を受けてすぐに投稿は削除しましたが、当社の信用問題にかかわります」
カタリーナ「企業が不祥事を起こすと、世間からの批判を浴びて社会的評価も下がってしまう。謝罪も内容やタイミングが適切でなければ、逆に火に油を注いでしまうこともあるから」
杉田「いったいどうすれば……」
カタリーナ「情報開示に積極的であるという姿勢を示すためにも、公式SNSアカウントだけでなく、企業サイトにも謝罪文を公表した方がいいわね。社長にも当然報告したわよね?」
杉田「もちろんです。こうなってしまったのも、私が気軽に張本君のアイディアにのって、内容のチェックもできないまま投稿が公開されてしまったことが原因ですから……」
カタリーナ「こうしたことが二度と起きないように、真摯なお詫びと再発防止策もきちんと示しておきたいわね。心配ならば、危機管理対応が専門のコンサルタントを紹介するわ」
杉田「ありがとうございます」
「闇バイト?」と思わせないために~求人募集に記載すべき6情報
カタリーナ「ところで最近、SNSで犯罪実行者の募集が行われる事案、いわゆる『闇バイト』が問題になっているわよね。だから今回の投稿も闇バイトではないかという憶測を招いてしまったのだけれど。実際に、そういう誤解を生じさせる広告が多くて、厚労省もさかんに注意喚起をしているのよ」
杉田「そうなんですか?」
カタリーナ「インターネットやSNSで人を募集するときは特に注意して。職業安定法では、労働者の募集に関する情報を提供するときは、虚偽の表示または誤解を生じさせる表示をしてはならないことが規定されているの。だから今回のような投稿内容は法律上NGね」
杉田「はい。そもそも、張本君には、募集職種や給与など基本的な労働条件の内容を伝えていたのですが、どこが悪かったのでしょうか」
カタリーナ「今後のこともあるから整理しておくと、直接労働者を募集するときは、募集主の氏名又は名称、住所、連絡先、業務内容、就業場所、賃金の6つの情報を記載する必要があるのよ」
杉田「どれか一つでも欠けていたら?」
カタリーナ「これらの情報が記載されていない場合は、法令違反となるわ。SNSを含む広告等で労働者の募集に関する情報を提供する際は、注意が必要ね」