募集時に「DMで連絡ください」はNG

杉田「連絡先というのは電話番号ですか?たとえばSNSのメッセージ機能を使って送付先を示す方法でも問題ないのでしょうか?」

カタリーナ「それだと誤解が生じる恐れもあるから、電話番号、メールアドレスまたは自社ウェブサイト上に備え付けられた専用の問い合せフォームへのリンクのいずれかを記載するようにして。これはフリーランスを募集する場合も基本的に同じよ」

杉田「わかりました。求人メディアに出すときも同じですか?」

カタリーナ「そうした雇用仲介事業者を通じて労働者を募集する場合、求職者から照会があったときは雇用仲介事業者が募集主の氏名・名称等を求職者に回答することになっているの。だから、必ずしも6情報のすべてが載っていなくても構わないわ。掲載の要否は事業者に確認して」

杉田「なるほど。いろいろと細かいルールがあるんですね。まずは今回の問題に対処して、これから自社で募集をかけるときはくれぐれも注意するようにします」

<カタリーナ先生からのワンポイント・アドバイス>
●職業安定法第5条の4第1項では、求人等に関する情報を提供するときは、当該情報について虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしてはならないと規定し、情報の的確な表示を義務付けている。

●昨今、インターネットで犯罪実行者の募集が行われる事案が見られ、その中には通常の労働者募集と誤解を生じさせるような広告等も見受けられることから、直接労働者を募集する際は、誤解が生じないよう、「募集主の氏名(又は名称)・住所・連絡先(電話番号等)・業務内容・就業場所・賃金」は必ず表示するよう留意したい。

●業務内容、就業場所及び賃金については、職業安定法第5条の3や労働基準法第15条で求められるのと同じように詳細を記載しなくとも、例えば、賃金について、「時給2000円~」とする形でも記載があれば、個別具体の判断とはなるが、直ちに職業安定法第5条の4違反とはならないと考えられる。

●フリーランスの募集を行う際も、「特定受託事業者の募集を行う者の氏名又は名称、住所、連絡先、業務内容、業務に従事する場所、報酬」を欠くものについては、誤解を生じさせる表示に該当するものとして、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(第12条)違反となる。

参考:厚生労働省「労働者の募集広告には、「募集主の氏名(又は名称)・住所・連絡先(電話番号等)・業務内容・就業場所・賃金」の表示が必要です」

※本稿は一般企業にみられる相談事例を基にしたフィクションです。法律に基づく判断などについては、個々のケースによるため、各労働局など公的機関や専門家にご相談のうえ対応ください。

(社会保険労務士 佐佐木由美子)