新NISAで、リスクを抑えた投資をしたい場合に選択肢となるのが「バランス型」の投資信託。株式100%の投信と比べると値動きが穏やかで、特に積立期間が長く取れないシニア層などに向いています。初心者向きとされることも多いタイプですが、買う際には要注意。選び方を間違っている人も少なくありません。『一番売れてる月刊マネー誌ザイが作った 新NISAで買うべき株&投信77 2025年度版』から、バランス型投資信託を選ぶポイントとおススメの例を紹介します。

初心者向きとされるが“適当”に買うのはNG!
内容によってリスクが全く違うので確認を

 新NISAでの資産形成で“土台”となるのは、つみたて投資枠でインデックス投資信託を積み立てること(新NISAをこれから始める人が買うべきモノとは!? 2年目の人もこの機に投資内容の見直しを!の記事を参照)。“キホンの1本”としては、「オルカン*1」などの全世界株型や、米国株型がおススメ(「オルカン」ってそもそも何? 新NISAで積み立てるインデックス投資信託の基礎とおススメの理由をイチから解説!の記事を参照)です。

 しかし、リスクを抑えることを重視したい人は、バランス型投資信託を活用するといいでしょう。特に積立期間が長く取れないシニア層などには向いています。バランス型は、国内外の株や債券、リートなどを組み合わせた投資信託。債券が入っているため、株式100%の投信より値動きが穏やかです。投資初心者向きとされることも多く、つみたて投資枠で買える投信のうち、約半分をバランス型が占めています。

 ただし、バランス型投資信託を買う際は、内容をしっかり確認する必要があります。投資先の組み合わせ方(資産配分)によって、リスクとリターンの水準が全く違うからです。

 大まかに分けると、上の図の3タイプ。株式の比率が大きいほど、また海外の比率が大きいほど、値動きが大きく、高リスク高リターンになります。

 勘違いしている人も多いのですが、組み合わせる投資対象が多ければ安定的、というわけではありません。特に要注意なのは、リート(REIT)*2が含まれている場合。リートは短期的には値動きが小さく、株式と違う動きをすることも多い一方で、市場環境によっては大きく下落します。長期で見た値動きの幅、つまりリスクは株式と同じくらいです。リートが含まれるバランス型投資信託は、“株式+リート”の比率を見ましょう。

 たとえば、バランス型で人気の「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」は、株式の比率を見ると37.5%。このため、証券会社や銀行の投信情報では中リスク中リターンの安定成長型に分類しているケースが多く見受けられます。しかし、株式+リートでは62.5%で、さらに新興国の比率(新興国株+新興国債券)も25%と高く、高リスク高リターンの成長型(積極型)とみるべきでしょう。実際にバランス型の中では値動きは大きめです。

eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)※成績は24年9月末時点、他のデータは2024年10月11日時点。資産配分は基本配分。販売会社のauカブコム証券は2025年2月から三菱UFJ eスマート証券(eスマ)に社名変更
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迷ったら“シンプル&低コスト”の投資信託!
成績も同じタイプの中で良好なことが多い

 バランス型の投信選びで迷ったら、まず成長型(積極型)、もっとリスクを抑えたいなら安定成長型、という順番で考えましょう。安定型はリターン(利益)が低く、利益が非課税になる新NISAのメリットが活かせないので、あまりおススメしません。

 そのほかに、資産配分変更型やターゲットイヤー型もありますが、狙いどおりにリスクが抑えられるとは限らない、といった問題もあって、おススメの度合いは下がります。

 1つの有効な選び方は“シンプルなわかりやすい内容で、信託報酬が安いモノ”です。凝った運用のバランス型より、そうしたモノのほうが好成績だったりします。

 成長型の低コスト投信の例としては、先述の「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」「DCニッセイワールドセレクトファンド(株式重視型)」、安定成長型では「<購入・換金手数料なし>ニッセイ・インデックスバランスファンド(4資産均等型)」などが挙げられます。これらは内容は非常にシンプルですが、成績は同じタイプのバランス型と比較しても良好です。

新NISAで買うべきバランス型投信※成績は24年9月末時点、他のデータは2024年10月11日時点。資産配分は基本配分。販売会社のauカブコム証券は2025年2月から三菱UFJ eスマート証券(eスマ)に社名変更
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*1 「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の通称。
*2 不動産に投資する投資信託。

※本稿は、ダイヤモンド・ザイ編集部編『一番売れてる月刊マネー誌ザイが作った 新NISAで買うべき株&投信77 2025年度版』(ダイヤモンド社)から再構成したものです。