ただ、ネット検索で得た情報は画一的になりやすいという問題があります。ある問いに対して、誰もが同じ答えを持っているようなものです。
何か新しいものを生み出すときの発想力やアイデアといったものは、自分が持つ知識や体験をもとに生まれることが多いと、私は体験的に実感しています。
自分の中に蓄えられた知識や情報が、日常生活の何気ないことに触発されたり、人との交流を通じて相手が持つ別の知見と融合したり、ときには化学反応を起こしたりして、おもしろい考え方や新しい方法が生まれます。
ネット検索で誰もが似たような知識や情報を持っていたら、それはとてもフラットで、のっぺりした状態です。デコボコがなく、どこにも引っかかりがない。
そうした環境では、突拍子もない発想や尖ったアイデアは生まれにくいのではないでしょうか。一人ひとりが持つ違った知識や情報がぶつかり合うことで、そうしたおもしろい考えや新しい何かが生まれやすくなるのだと思います。
ネットで検索すれば簡単に答えが見つかる便利な時代になりました。しかし、ネットばかりに頼って受動的な使い方ばかりしていると、脳の働きは弱まっていきます。
年をとるに従い脳の認知機能は衰えていきます。認知症予防のために脳トレが盛んに活用されていますが、自分の頭を使って記憶力や暗記力、思考力を高めると、脳が活性化します。記憶や暗記に力を入れると認知症予防にも有効だと考えられます。
1日中、パソコンやスマホを見ていては、脳は受動的に情報を取り込むばかりで、脳の働きは停滞してしまいます。それよりも積極的に暗記、記憶や考えることを楽しんで、家族や友人、知人とのコミュニケーションを豊かにすることで、脳は能動的に働きます。
繰り返しになりますが、暗記や記憶というのは、単に用語や知識を頭にインプットするだけではなく、それをアウトプットして有効活用、運用する、発展的な営みです。
デジタル全盛の現代だからこそ、受け身の情報収集だけではなく、自発的な暗記や記憶の重要性が増していると感じます。