3分の1を稼ぐサンケイビル
頼みの綱がフジテレビの会社も

 下はフジ・メディア・HDの主な関連会社の24年3月期の純利益をまとめたものだ。

 トップのサンケイビルが利益全体の3分の1を稼ぐ。実はフジ・メディア・HDは「不動産会社」の色合いが濃いのだ。サンケイビルと並び、都市開発・観光事業の柱が鴨川シーワールドや全国各地にシティーホテルを保有するグランビスタ ホテル&リゾートだ。サンケイビルが15年にグランビスタ ホテル&リゾートを買収。日枝久氏が肝いりのお台場カジノ構想を見据えた一手だったとされる。同社はBSフジと同等の利益をもたらす重要な企業だ。

 プロ野球「東京ヤクルトスワローズ」や、企業ではないが、「箱根 彫刻の森美術館」もグループに抱える。箱根 彫刻の森美術館は、フジサンケイグループにとって文化的な支柱でグループを築いた鹿内家の象徴だった時代もある。

 巨大グループは長らくフジテレビの支援によって成立してきた。例えば、グループ内の出版会社、扶桑社は関係者によると制作委託費や広告費としてフジテレビから年間8億円ほどの収入を受け取っているという。

 また、経営不振が続く産経新聞社には恒常的な支援がなされてきた。ユニークなものでは、「産経新聞」のテレビ欄には、フジテレビの項目だけ、色が付けられている。これも産経新聞は広告費として受け取っている。産経新聞には毎年10億円ほどの広告費が入るとされる。

 だが、今回の問題によるフジテレビの台所事情が苦しくなるのは必至だ。「ミルク補給」がなくなれば、苦境に追い込まれるグループ企業は少なくない。グループに遠心力が働く可能性もある。

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