では、そもそも何のために警戒心を解かなくてはいけないのでしょうか。もちろんこちらの話を聞いてもらうためですが、それは一部でしかありません。本当の目的は警戒心を解いて“お客様の悩みを聞く”ということなのです。
知人の生保のトップ営業スタッフは「お客様が心を開いて悩みが聞ければ契約を取ったも同然」とよく話しています。この事実を知れば、お客様が安心した途端「それで当社のセールスポイントですが」などと売り込みをかけたりしなくなります。
初回面談、接客は“警戒心を解いて悩みを聞く”とシンプルに考えてみましょう。そうすることで、一気に道が開けてくるものです。
どう声をかけたら警戒心が解けるか?と考えてみる
心の変化を察したら
声のトーンを変える
初対面では、声のトーンを少し上げて話すと、お客様にいいイメージを与えられて話がうまく進みます。雑談のテクニックとして前述しましたが、その方がポジティブな印象を与えられるからです。たいていのお客様は、暗い人より明るい人を好みます。しかし、そのままのトーンで説明したらどうでしょう?お客様は「なんか鬱陶しいな」と思うかもしれません。
以前、娘の付き添いでスマホショップに行った時のことです。私はスマホを買う気はなく、興味本位でいろいろ見ていました。すると店員さんが近づいてきて「買い替えをお考えですか?」と質問してきます。私のスマホは新しくはないものの動きは良く、何も問題を感じません。軽く断りながらも説明を聞いていました。
この店員さんは「ちょっと声が高いな」と感じる話し方をしていました。何かのタイミングでスマホを見せると「容量が足りなくて困ったことはありますか?」と質問してきたのです。確かにそれは以前からちょっと引っかかっていた部分でもありました。しばらく話を聞いているうちに「娘のスマホを買うわけだし、せっかくだから交換しようかな」と思えてきました。
私の心の変化を察した店員さんは、ワントーン低い声で「新しいスマホに変えれば動きも良くなりますし、ストレスもなくなりますよ」と言ってきました。