日々のコミュニケーションで苦戦苦闘している日々は、今日で終わりです。これからは、説得しようと力業で勝負する必要はありません。自ら動くのではなく、相手に動いてもらい、自分の思い通りの結果に導けばいいのです。それを可能にしたのが、『メンタリズム日本一が教える「8秒」で人の心をつかむ技術』です。「トップセールス」の実績を持つ「メンタリズム日本一」が生んだ至極のコミュニケーションスキルが詰まった一冊。本書では、限りなく「ホワイト」で徹底的に磨かれたノウハウを網羅していますが、本連載の今回からは本の性格上、収録しなかった禁断のテクニックを紹介する。使うか使わないかは、自己の判断に任せます。

「初対面で嫌がられる人」と「初対面で距離を縮める人」で異なる会話のからくりPhoto: Adobe Stock

初対面で距離を縮めるのは難しい?

 初対面の相手に対して、「どう話しかけたらいいかわからない」「話が続かない」「印象が悪くなったらどうしよう」など、悩みを持つ人も多いのではないでしょうか。けれども、初対面でうまく距離を縮めることができれば、その後の関係もスムーズになり、信頼を築くきっかけになります。

 では、うまくいく人とうまくいかない人の差には、何があるのでしょうか。

 AさんとBさんの下記の会話を見ながら、想像してみてください。

A:「ご出身はどちらですか?」
B:「東京です」
A:「お仕事は何をされているんですか?」
B:「営業をしています」
A:「趣味は何ですか?」
B:「映画鑑賞です」
A:「どんな映画が好きなんですか?」

 さて、どう感じましたか。「質問する→答えてもらう→また質問する」という流れが続き、まるで尋問のような会話になってしまいます。あれこれ聞かれることが苦手な人にとっては、質問攻めは「答えなければならない」という圧力を感じさせ、反発心や不快感を覚えさせてしまうのです。

 しかし、相手と距離を縮めるには「質問」は欠かせません。では、うまくい人はどのように話しているのでしょうか?

 では、「距離を縮める人」はどんな質問をしているのでしょうか?

A:「今はどんなお仕事をされているんですか?」
B:「不動産の営業です」
A:「そのお仕事を選んだきっかけは何だったんですか?」
B:「父が不動産の営業だったんですよ」
A:「今後はどんなことを目指しているんですか?」
B:「いつか父の跡を継いで、地域一の不動産会社を目指します!」

 どうでしょうか。距離を縮めるのが上手な人は、「現在・過去・未来」の順番で質問しています。なぜこの順番がいいのか? それは、人の思考をコントロールしやすいからです。この流れで質問すると、相手は自然と話しやすくなり、自分からどんどん話をする状態に誘導されてしまうのです。

「現在の話を聞く」

「過去やターニングポイントを聞く」

「夢や目標などの未来を聞く

 この流れで質問すると、相手のストーリーが自然と展開され、親近感が生まれやすくなります。「未来」の質問にたどり着く頃には、相手が自分のことをたくさん話してしまっている状態になっており、「気がついたら、相手が勝手にあなたに心を開いている」という状況をつくれるのです。

 この構造は「ヒーローズ・ジャーニー(英雄の旅)」と呼ばれ、ハリウッド映画でもよく使われるストーリー展開の手法です。映画の主人公は、「現在の状況」から始まり、「過去の経験や転機」を経て、「未来の目標」に向かって成長していく。こうした流れがあるからこそ、観客は主人公に感情移入しやすくなるのです。会話に「ヒーローズ・ジャーニー(英雄の旅)」の流れを取り入れることで、相手も自然と話しやすくなり、あなたとの距離がグッと縮まるのです。

距離を縮めるには「質問」がポイント

 初対面で距離を縮めるには、以下のポイントを押さえましょう。

「質問攻めをしない」「現在・過去・未来の順番で質問する」。この方法を実践するだけで、相手はあなたに対して親しみを感じ、自然と会話が弾むようになります。ぜひ、次回の会話で試してみてください。

「もっと初対面の人とスムーズに話せるようになりたい!」「相手を惹きつける会話術を学びたい!」そんな方には、『「8秒」で人の心をつかむ技術』がおすすめです。初対面でもいい余韻しか残さない印象操作術が学べます。会話術を身につけて、どんな相手とも自然に距離を縮められるようになりましょう。

(本原稿は、書籍『メンタリズム日本一が教える「8秒」で人の心をつかむ技術』著者の書下ろしです。)