トランプ関税“混乱”の背景は政権内の分裂⁉︎通商問題の余波は日米の金融政策も直撃Photo:Andrew Harnik/gettyimages

トランプ政権発足1カ月、混乱目立つ関税政策
メキシコ25%関税「発動停止」や「相互関税」構想

 トランプ第2次政権が発足して1カ月になるが、トランプ大統領の掲げる「米国第一」の政策が世界を騒がせている。なかでも、そのグローバルな影響の大きさ、方針の不透明さが相まって混乱を呼んでいるのが関税政策だ。

 トランプ氏は大統領選挙中から、中国からの輸入について60%の関税賦課、それ以外の国からの輸入について、いわゆるユニバーサル関税として一律に10~20%を賦課という衝撃的な政策を掲げていた。その影響に関しては、さまざまな試算が出され、世界や米国経済、国際貿易への影響が懸念されてきた。

 実際、政権発足後のこの1カ月、カナダ・メキシコへの25%関税、中国への10%追加関税の実施の表明に始まり、鉄鋼・アルミニウムの関税引き上げや「相互関税」導入の方針などが、矢継ぎ早に表明されている。トランプ大統領が関税を使って本気で米国の貿易環境を変えようとしていることは疑いない。

 だがカナダ・メキシコ関税は発動直前の「1カ月発動停止」が決められ、大統領選時の公約だったユニバーサル関税は「相互関税」に変わるなど予想外の動きも起きている。

 背景には、トランプ政権内部で、「ディール(取引)」材料としての利用を中心とする考え方と積極活用の主張、さらには個別品目重視か網羅的な関税にするかなどで意見が分かれているという内情があるようだ。

 トランプ関税政策の混乱と不確実性は、今後の実体経済や金融政策にも波及しそうだ。