その代わりではないですが、サッカースクールが増えました。Jリーグのクラブが運営するスクール、地元に根ざした街クラブの運営するスクール、技術に特化したスクールなど、様々な場所が子どもたちの受け皿になっています。

 スクールにはコーチがいて、コートがあります。十分な数のボールがあり、色々な設定に役立つ用具も揃っている。

 子どもたちはコーチの指示に従って、決められた時間内にサッカーをします。ボールをうまく蹴ることができなければ、コーチが「こうやってごらん」と教えてくれる。

 子どもたちが安心してサッカーができる環境を整えるのは、とても素晴らしいことです。

 ただ、すべてが用意された環境では、子どもたち自身が考える場面が減ってしまいます。自由な発想が育まれにくいのです。

指導の正解は何か?
考える余白が成長を生む

 日本サッカー協会は指導者ライセンス制度を設け、指導者のあるべき姿を提示し、必要な知識が学べる機会を作っています。指導する対象年齢が上がるにつれて、ライセンス取得のための講習会も期間が長くなります。僕自身も年単位でライセンスを取得していき、2024年に国内最上位のS級コーチライセンス(Proライセンスに改称)を取得することができました。

 C級、B級、A級、S級と通ってきた中で、様々な学びがあり、色々なチームの指導者と交流してきました。日本サッカーの持続的な成長のために必要な指導について、たくさんの人たちと議論を重ねていきました。

 ライセンス取得者の数が増え、その方たちが育成年代の子どもたちを教えるということは、サッカーへの理解が深まり、プレーの原理原則を学べるという意味で良いと思います。

 僕自身の経験も踏まえると、学んだことは教えたくなります。指導者講習会で学んだものを、実際の指導の現場で使ってみたいと考えます。使わなければ学んでいないのと同じで、使うことで自分のものになり、自分なりに改良することで自身の成長を促すことができます。

 そこで重要なのは、何をどのように伝えるのか。