オープンな姿勢が高評価!
首位JA上伊那、2位JAやさと
JA支持率ランキング1位は、長野県のJA上伊那だった。
JA上伊那のすごみは、出資者である組合員に、不都合な事実も含めて情報を開示し、共に課題を解決していく姿勢にある。
同農協は定期的に組合員アンケートを実施しているのだが、特筆すべきは、農協が行う「中古機械のあっせん」や「低コスト資材の供給・省力化技術の提案」は満足度が低いことを包み隠さず開示していることだ。JA上伊那では、中期経営計画を策定するたびに組合員アンケートを行い、農家が不満に思っていることを洗い出し、改善しているのだという。
JA上伊那の「改革実感度」が日本一高いのは、組合員の声を聞き、改善に生かす仕組みを回している成果といえる。
また、組合員アンケートでは、農家に農業コンサルティングを行う営農指導員への満足度が高い。JA上伊那は「過去10年以上にわたり、約50人の指導員体制を維持してきた」(企画広報課)。この10年で、全国の農協の営農指導員が13%減少しているのと対照的だ。実は、同期間でJA上伊那の職員全体は30%減少しているのだが、農協と農家の接点である営農指導の体制は何とか維持してきたのだ。
JA支持率ランキング2位は茨城県のJAやさとだった。農協の「役員」「農産物の販売力」「肥料などの購買」「就農支援」への評価がいずれも全国で最も高かった。
キーワードは有機農業だ。JAやさとは1990年代から有機農産物の生産、販売を始めた。現在は農家30軒が有機栽培部会に所属する。部会の有機野菜の売上高は2024年度、前年度比6%増の1億9100万円に上った。
同部会は、外部から新規就農者を受け入れて育成しており、現在では所属農家の9割が新規就農者出身となっている。部会員の平均年齢は40代後半であり、農業の中ではかなり若い。JAやさとの取り組みは農協が産地を育成している好例といえる。
全国114農協の支持率や経営状況を網羅した「JA赤字危険度ランキング完全版」と、ランキング作成方法については、特集『儲かる農業2025 日本の夜明け』の#4『【農家が支持するJAランキング・全114農協】不祥事のならけん、山口県はほぼ最下位…3位愛知みなみ、2位やさと、1位は?』で詳報している。こちらの記事では、支持率が低迷している農協の要因を分析するとともに、農協が復活するための処方箋を提示する。
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