日本の稲作を「儲かるビジネス」に変えると同時に、コメ不足の解消を目指す農業イベント「超農祭」が11月22日、開催された。全国の大規模生産者ら500人が横浜市に集まった。特集『儲かる農業2025 日本の夜明け』#1では、豪農たちが参加費1万円を払っても聞きたいと思った農業イベントの中身を明らかにする。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)
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毎年500万トンのコメ輸出支援へ
アサヒ、住商、BASFなどが新提案
農業の集会といえば、農協の幹部や農家が集まり、ハチマキを締めて貿易自由化反対や農政予算の増額を政府に要求する、といったようなイメージがある。
集会における農業者同士の会話も、政策や農協への不満、愚痴が多い印象だ。残念ながら、イベント全体が暗い雰囲気なのだ。
対照的に、筆者が欧州や米国、中国で取材してきた農業イベントはいい意味でガツガツしていた。壇上で企業などが農業ビジネスの提案などを行い、そのプレゼン資料を、参加者した農業者が熱心にスマートフォンで撮影するのがお決まりの風景だった。
筆者は日本で、そういった農業イベントを取材することはないだろうと半ば諦めていたが、11月22日に横浜市の大さん橋ホールで開催された「超農祭」は、従来の常識を打ち破る、画期的な農業者の集会だった。
海外の農業イベントのように前向きな雰囲気が満ちており、日本の農業に変革を起こそうという気概が伝わってきた。
主催したNEWGREENによれば、参加した農業者の耕作面積は合計1万1000ヘクタール超。単純計算で1人平均約20ヘクタールの経営規模ということになる。その多くが、引退する農業者から農地を借りて規模を拡大中であり、100ヘクタール超の農業法人も珍しくない。中には、「2030年に1000ヘクタールまで集積する計画だ」と壇上で豪語する農業法人経営者もいるほどだった。
次ページでは、豪農や企業が集まって議論した「コメ1キロ当たり生産費75円」「粗利68%」「年間500万トン輸出」といった意欲的な目標を実現するための秘策を明らかにする。また、独農薬大手のBASFがコメの低コスト栽培をサポートするため国内で初めて発表した「成果保証サービス」の詳細も紹介する。