「そうなんです。仕事が全くできないわけじゃなくて、熱心に取り組んでいるし、それなりにはこなせてるんですけど……。できていないところもまだまだあるのに、とりあえずのやり方を必死に繰り返してる感じで、改善点に目が向かないようなんです」
ここでわかったのは、何はできるようになってきているけど何はまだできていないというように、自分の強みや弱みに目を向けることがないということ。そのため、とりあえず身につけたやり方でがむしゃらに仕事をこなすばかりで、弱点の改善ができない。それで伸び悩んでしまう。
まずい点を指摘されない時代に多いパターン
自分はどういうことが苦手なのか、まだできていないのはどんなことか、ということがわかれば、そこを強化していけば,仕事力は高まるし、伸びていくことができる。だが、そこに気付けないから、足りないところが改善されていかない。
これは何が問題なのかというと、自分自身を振り返る姿勢が乏しいということ、つまりメタ認知が機能していないのだ。自分を振り返らないために、自分にとっての課題がわからない。そのため、いくら意欲があっても空回りしてしまい、仕事力が向上していかない。
その人物は、すごくやる気があり、先輩たちに積極的に質問するということだったので、その際に足りない点を指摘されたりはしないのかと尋ねてみた。本人が自力で気づけなくても、先輩から指摘されれば気づくこともあるはずだからだ。だが、最近の風潮からして、指摘するのは難しいようだった。
「多分、指摘されないんだと思います。何しろこういうご時世ですから、先輩たちは新人の弱点に気づいても、なかなか指摘しにくいのではないでしょうか。落ち込まれても困るし、傷ついたと言われても厄介ですしね……」
そうであれば、まずは自分自身の現状を振り返って、自分にとっての課題をしっかりとらえてもらう必要がある。非常に意欲的で、できるようになりたいという思いが強いということなので、自分にとっての課題がわかれば、その克服に向けてがむしゃらに突き進んでいけるだろう。できるようになりたいという思いが強いということなので、まだまだ足りない点など、自分の課題を知ると同時に、自分の強みも知ることができれば、落ち込むことなく、強みを生かしつつ、課題の克服に向かっていけるはずである。