食事や睡眠、活動量、室温や照明条件等の1日のリズムを3パターンに分けて被験者を生活させ、そのときの血圧のリズムを観察しました。3パターンとは、(1)1日のリズムを24時間よりも短い20時間にした場合(すなわち、強制的に1日を20時間に設定したもの)、(2)強制的に1日を28時間に設定した場合、(3)強制的に低照度の部屋に半座位で持続覚醒させ、2時間ごとに同じカロリーの軽食をとらせるという生活を38時間過ごしてもらった場合、です。

 これら3つの条件下で、血圧のリズムがどう変化するかを観測したところ、いずれの場合もサーカディアン(約24時間の)リズムが観察され、モーニングサージが現れるだろうという事前の予想に反して、21時にピーク値を示すイブニングサージが検出されたのです。

 この実験から、血圧には地球の自転周期(約24時間)とは関係のないリズムが存在していて、イブニングサージが原因で心筋梗塞や脳卒中が夕方に発症していることが推測されます。血圧のサーカディアンリズムを原因とする朝の発症に加え、サーカセミディアンリズムを原因とする夕方の発症に注意する必要があるということです。

夕方も血圧上昇に要注意!
イブニングサージが病気を誘発

 それでは、通常の日常生活(24時間のリズム)を送っている人たちにも、血圧のイブニングサージは観測されるのでしょうか。

 京都・蘇生会総合病院の村上省吾博士らは、133人の市民(平均年齢57歳)に7日間の24時間血圧を連続記録し、血圧リズムを解析しました。

 その結果、24時間のリズムで通常の日常生活を送る人たちにも、起床後1~3時間の時間帯に観察されるモーニングサージだけでなく、起床から10~12時間後の時間帯にも血圧の一過性上昇、すなわちイブニングサージがみられることを発見しました。

図表2:起床10~12時間後にピーク値を示す血圧のイブニングサージ図1.1 起床10~12時間後にピーク値を示す血圧のイブニングサージ 同書より転載
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