「社会での挫折を挫折って認めたくなかったんだよ!」慶應卒・元博報堂のプロレスラーがリングで見せた“慟哭”派手な演出に彩られた公演。試合では本格的な技が披露される 提供:PPPTOKYO

キャバ嬢、元セクシータレントまで登場
熱狂と感動のリングとは?

 2025年2月6日、私は歌舞伎町のど真ん中にある新宿FACEにて、同団体の新宿「公演」を観戦した。通常のプロレス団体は「大会」という言葉を使うが、PPPTOKYOは「公演」と呼ぶ。「試合」は「パーティー」だ。スポーツ性よりも、エンタメ性を重視していることが感じられる。

 PPPTOKYOの公演はプロレス団体としては異色そのもので、刺激的で衝撃的な「狂宴」だった。最前列には、キャバ嬢が酒を注ぎつつ、一緒に観戦するハレンチシートなるものまである。入場時には、セクシーな衣装の女性がレスラーをエスコートし、試合前に記念撮影までが行われる。ずっとトランス風の音楽を流しつつ行う試合もある。ホスト風、キャバ嬢風など、見た目も個性的なレスラーが多数登場する。

 ただ、リング上の試合は迫力満点だ。大型レスラーは、ほぼいないが、その分、スピード感のある攻防が展開される。大手団体からもゲスト選手が多く参戦し、レスラーたちの力と力、技と技のぶつかり合いを至近距離で堪能することができた。

 まるで演劇、ミュージカルなどのショーを観た後のような快感があり、ロックのライブで数時間、叫び続けたような熱狂、高揚感だった。プロレスファンの間では団体の枠をこえていると言われるPPPTOKYOだが、リング上の闘いはプロレス団体そのもので、熱がたぎる空間だった。

 この団体の「総帥」である三富兜翔は、1989年8月2日、東京都世田谷区で生まれた。小学校を卒業する頃にプロレスと出会った。大技を何度受けても立ち上がるプロレスラー、その打たれ強さ、不屈の魂に震えたという。