財界中枢が宣言した「宗旨替え」
株主はリストの最後

江渕崇 著
2機目の737MAXがエチオピアで墜落(編集部注/ボーイング社の2度目の事故)してから約半年後の2019年8月、株主資本主義の総本山であるアメリカ財界の中枢が「宗旨替え」を宣言したのだ。
「企業の存在意義(パーパス)を、『すべてのアメリカ人に尽くす経済』を推進することと再定義します」
経営者団体ビジネス・ラウンドテーブル(BRT)が発した通称「パーパス文書」が今もなお参照され続けている。アップルやアマゾン・ドット・コム、ゼネラル・モーターズ(GM)、ゴールドマン・サックスといった巨大企業のCEOら181人が署名した声明だ。
顧客や従業員、取引先、地域、地球環境など全てのステークホルダー(利害関係者)に尽くす、新たな資本主義をめざすのだという。それまで最上位だったはずの株主に触れられたのは、リストの最後だった。それも、株主に約束するのはあくまで「長期的な価値の創造」なのだという。文書がうたい上げていたのは、いわば「みんなの資本主義」への転換だった。