「『なぜ、そう思うの?』は、絶対にNGです」
「なぜなぜ分析」をはじめに「なぜ?」という問いは“論理的に考える”ための「良い質問」だと考えられている。しかし実は「なぜ?」「どうして?」は、致命的な「解釈のズレ」を生み、噛み合わない会話=「空中戦」を作り出してしまう元凶、「最悪の質問」なのだ。
「事実と解釈の違い。これに気づけていない人は、まだ確実に“曇りガラス”の中にいます」――。話題の新刊『「良い質問」を40年磨き続けた対話のプロがたどり着いた「なぜ」と聞かない質問術』では、世界・国内の各地で実践・観察を積み重ねてきた著者による「賢い質問の方法」=事実質問術を紹介している。本書に掲載された衝撃の新事実の中から、今回は「ありがちなNG質問を変換する方法」について紹介する。(構成/ダイヤモンド社・榛村光哲)

「なぜ?」は最悪の質問
質問には、よい質問とよくない質問があります。
よくない質問の代表が「なぜ?」「どうして?」と聞く質問です。
では、それがよくないのはどうしてでしょうか。
まず第一に、相手の「思い込み」を引き出してしまい、それがコミュニケーションのねじれにつながるからです。「なぜ」が良くない質問である理由については過去記事で紹介していますが、では、賢い人はどのように聞くのでしょうか。
実は、賢い人が使う質問の1つは、次のようなものです。
◎「いつ?」
今回はそれについて説明していきましょう。
日時を特定する「いつ」質問に変える
「なぜ質問」の場合、質問の対象となるのは、次のようなものです。
・「宿題を忘れた理由」
・「朝起きられない理由」
・「初対面の人と話すのが苦手な理由」
つまり、質問の対象は、「行為や出来事、現象」で、その背景や原因や動機を「なぜ」という質問によって聞き出そうとするものです。これは言い訳や都合のいい解釈、根拠の乏しい思い込みを引き出す良くない質問の代表でしたね。この時「なぜ質問」は絶対にしてはいけません。
たとえば、質問対象とする行為や出来事が一度きりの場合は、そのことが起こった日時を特定する「いつ質問」に変換します。
「なぜ」を「いつ」に変換する方法
たとえば、次の質問例で考えてみましょう。
これでは、相手の思い込みを引き出してしまいます。詰問調にも聞こえかねないですね。代わりに、次のように尋ねるようにしましょう。
このように質問することで、相手は、そのように考えた「いきさつやきっかけ」を思い出し始めます。
これはとどのつまり、過去の経緯を正確に思い出しているうちに、相手は、再分析を始めるということです。今の曲がった記憶をもとに考えさせてしまってはいけないのです。
事実質問の原則は「考えさせるな、思い出させろ」に尽きます。思い込みを抜け出し、事実を見つめるためには、(まどろっこしいように思えるかもしれませんが)このような事実質問に沿って質問を進める必要があるのです。
(本記事は『「良い質問」を40年磨き続けた対話のプロがたどり着いた「なぜ」と聞かない質問術』の一部を抜粋・調整・加筆した原稿です)