東北新幹線 E5系 車内 グランクラス東北新幹線グランクラスの車内 Photo:PIXTA

なぜグランクラスは不振なのか
サービス“改悪”かつ値上げへ

 グランクラスは、飲食の無料サービスや、飛行機のファーストクラス並みの座席感覚(1.3m)がウリで11年に登場した。東北新幹線「はやぶさ」をはじめ、現在は上越、北陸、北海道の各新幹線にも拡大している(一部は座席サービスのみ)。

 開業当初は利用率も上々で、北陸新幹線においては金沢駅開業から18日間で利用率77%を記録。東京〜金沢間のグランクラスの料金は総額2万7490円と普通車(1万4120円)の倍近いが、高い料金でも見合ったサービスが受けられると好評だった。

 北海道新幹線開業後に設定された東京〜新函館北斗間の「はやぶさ」のグランクラスは総額3万8280円。乗車時間が4時間以上あるので、軽食や飲み物が充実し、広いシートでぜいたくに過ごせる点を支持する人もいた。

 しかし、サービス開始から8年を経た19年の乗車率は、平均50%(東北・北海道新幹線)と寂しいものに。さらにコロナ禍があり、サービス縮小の動きも相次ぐ。

 専用アテンダントによる飲食サービスは当初、北陸新幹線の「はくたか」や一部「やまびこ」・「はやて」でもあったが、現在は「はやぶさ」と「かがやき」のみに縮小。そのメニューは地元の食材を取り入れるなど工夫を凝らした弁当・総菜だったのが、今では冷凍食品になってしまった。

 JR東日本は食品ロスへの対応を理由にしているが、利用者数の低迷も影響していると考えられる。そうしたサービスの“改悪”である中で、4月から料金が値上げされる。東京〜金沢間は3万1840円(食事サービスのある列車のみ)になり、開業当初よりも4000円以上高くなる。また、東京〜新函館北斗間は4万3300円になり、同様に5000円以上の値上げである。

 これほど値上げするなら、それ相応のサービス拡充があってほしいものだが、現時点でそうした発表はない。こうなると、ますます客離れを起こしてしまうだろう。

 さらに、東北新幹線ではグランクラスが廃止されるのでは、と懸念されている。27年に落成する新型車両E10系の量産試作車には、グランクラスを設けないことが発表されたのだ。

 ただし、これはあくまで試作車の話であり、本格的な量産までにその方針が決定される見通し。とはいえ、人気低迷を考えると廃止になることも十分考えられるだろう。