大きくは3つの施策からなり、「3本の矢」とも言われた。

図表2:アベノミクス「3本の矢」同書より
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紙幣を刷って国債を購入
これで成功した国は歴史上ない

 1本目の矢は「大胆な金融緩和政策」であり、デフレを脱却して年2%のインフレ率達成が実現するまで、無期限で量的緩和政策を続けることを宣言した。この1本目の矢は、日銀の金融政策に圧力となった。

 日銀が紙幣を刷り続け、市場に供給し続けることで、景気を回復しようとしたのである。

 私は常々言っているが、中央銀行が紙幣を刷り、国債を購入する。このような金融政策で経済を立て直した国は、歴史上、1つもない。むしろ通貨の価値が下がることで通貨安を引き起こす可能性が高いからだ。実際、日本は今まさにそのような円安状態となっている。

 続いては2本目の矢「機動的な財政政策」である。前年に発生した東日本大震災からの復興、ならびに大地震のような自然災害に対しての安全対策を行うなど、公共事業への投資を増やす政策だ。

 私の投資におけるスタンスの1つでもあるが、確かに危機と好機は表裏一体であり、ピンチの後にはチャンスが訪れる、との論理は正しい。実際、私も東日本大震災の後、日本株を購入し、その後に売却、2023年末にはすべて売り払い利益を得た。

 このような話をすると「震災を金儲けの手段にしている」と批判されたり、厳しい言葉をかけられたりすることがあるが、そのような思考や論調はナンセンスである。むしろ、その逆である。復興においてお金は絶対に必要不可欠だからだ。

 私が日本に投資したことで、そのお金が原資となり東日本大震災からの復興も含めた、日本経済の復興に寄与していった。これが正しい考えであり、現実であり、私の投資スタンスでもある。