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【精神科医が教える】「ルッキズム=悪」なのか?Photo: Adobe Stock

ルッキズムも、悪くない?

 今日は「ルッキズムも、悪くないんじゃないか?」というお話をしてみたいと思います。

 最近、「ルッキズムってよくないよね」という声を耳にするようになりました。ルッキズムというのは、「見た目の美しさやかっこよさなど、外見によって人を評価すること」を指す言葉です。

 たとえば、美人コンテストやイケメンコンテストなどに対して、「見た目だけで人を判断するのは良くない」という批判が出てきたりしますよね。

白雪姫もルッキズム批判?

 最近のディズニー映画『白雪姫』では、こうした風潮を受けてか、ちょっとしたセリフの変更があるそうです。

「鏡よ鏡、世界でいちばん美しいのは誰?」というあの有名なセリフが、内面も含めて美しいのは誰?というようなニュアンスに変えられているそうです。外見だけじゃないよ、というメッセージを込めたアレンジなのでしょう。

でも、見た目だって“才能”の一つです

 たしかに、見た目だけで人を判断してしまうのはよくありません。外見が整っていない人を差別するような風潮があれば、それは改善されるべきだと思います。

 一方で、外見が魅力的であるというのも、ひとつの“才能”だと私は思うのです。それを「活かしてはいけない」「評価しちゃいけない」となってしまうのは、また違う話ではないでしょうか。

年を重ねれば、外見にも“生き方”がにじむ

 若い頃は「顔のつくり」や「体型」といった部分に注目が集まりがちです。しかし、年齢を重ねると、顔つきや雰囲気に「その人の生き方」や「内面」が出てくるようになります。

 たとえば、「かわいいおばあちゃん」と言うときの“かわいい”は、見た目そのものではなく、その人の言動や人柄に対する表現ですよね。

「かっこいい人」も同じで、単にハンサムというだけでなく、生き様や所作、考え方なども含まれているはずです。

本当の“見た目”は
外見と内面の合わさったもの

 つまり、“見た目”というのは、ただの顔のつくりではなく、内面が外ににじみ出たものなのです。生き方や考え方が外見に表れる。だからこそ、見た目は外見と内面の“統合体”ともいえるのではないでしょうか。

 本来のルッキズムが“外見だけの評価”であるなら、それはたしかに偏っています。でも、そうではない「総合的な魅力」としてのルッキズムは、決して否定されるべきものではないと思うのです。

清潔感や服装に
気を配ることも“思いやり”

 たとえば、自分に似合う服を選ぶ、清潔感を大切にする。これって、相手への思いやりでもあり、自分自身の成長でもあります。

 誰かに「かっこいい」「かわいい」と思ってもらうためだけに頑張るのは、たしかに他人軸でしんどくなってしまいますが、「トータルで魅力的な人間になろう」とする姿勢は、いつだって誰にでも持てるものです。

目指すのは“トータルに魅力的な人”

 だからこそ、「ルッキズム=悪」と切り捨てるのではなく、外見も内面も含めた“トータルで魅力的な人間像”を目指すことが大切なんじゃないかな、と思うのです。

 それは若い時だけの話ではなく、いくつになっても続けられること。「自分らしく、でもちょっと素敵に」。それが人生を豊かにしてくれるんじゃないかなと、私は思います。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。