つまり、今回の報告書によって、フジテレビ社内に「セクハラ・パワハラはやったもん勝ち」というようなカルチャーが蔓延し、この組織にいる限り「ハラスメント被害者」は泣き寝入りしなくてはいけないという暗黙のルールが存在していることが明らかになったのだ。

 確かにそれをうかがわせる事案も紹介されている。例えば、報道番組でキャスターも務める報道局の反町理氏は2006年から08年にかけて、女性社員2名を食事やドライブに誘っていた。そして、これを断られた途端、重要な情報を与えなかったり、不要な叱責をしたりしたとして、第三者委員会はセクハラとパワハラを認定した。

 もし海外の報道番組のキャスターが同じ問題を起こせば、一発で契約解除になりそうな話だが、フジテレビの対応は驚くべきものだった。

 この問題があった後も反町氏は政治部長、報道局解説委員長など順調に出世階段を上って、20年6月には執行役員、21年7月には取締役に就任している(3月27日に退任)。

 つまり、先ほどの多くのフジテレビ社員が感じているように「セクハラやパワハラをしてもほとぼりが冷めれば昇進する」を地でいく「サクセスストーリー」なのだ。

 こういう「セクハラ・パワハラはやったもん勝ち」という組織なら、強い立場の者ほどセクハラやパワハラにのめり込んでいくのは言うまでもない。ペナルティがないなら安心して、若い女性や「下」をいびることができる。

 その醜悪な構図も、第三者委員会の調査が明らかにしている。2月に行ったアンケートでは、フジテレビ役職者1134名から回答を得ている。その中で取引先との会合に参加した際にハラスメント被害を見聞きしたのは150件で13.6%にのぼった。女性の中で実際に被害にあったという回答は45件で全体の15.3%だった。(報告書122ページ)

 そして特筆すべきは、これに続く「ハラスメントをした人は誰ですか」という質問だ。「番組出演者」(17件)「スポンサー」(13件)という回答に比べてダントツに多かったのがフジテレビ、フジメディアHDの役職員で101件だった。