また主要国の20代の死因の第1位は自殺と不慮の事故であり、心の病も解決されていません。個人の生活習慣だけでなく、世界的には、われわれを取り巻く社会の生活環境の問題も重要です。
一方、日本の状況はどうでしょうか。2022年の日本人の死因は、第1位は悪性新生物(いわゆる、がん)で38万5787人(24.6%)、第2位は心疾患(高血圧性を除く)で23万2879人(14.8%)、第3位は老衰で17万9524人(11.4%)、第4位は脳血管疾患で10万7473人(6.8%)です。世界全体の現状とは、少し異なっています。
実は、日本は世界一の「がん大国」です。高齢化が進んでいる日本では、がんになる人もがんで死ぬ人もその数は年々増加しています。
日本人の平均寿命は世界第1位
今も寿命は延び続けている
2021年の調査で、がんになる人はほぼ2人に1人(男性65.5%、女性51.2%)です。
皆さんはこのことをどう実感しているでしょうか。自分はがんにならないと思っている、“おおらかな”方も多いのではないでしょうか。運動会で赤組になるか白組になるかと同じ確率です。日本では、「自分は、がんになるのか」というより、「いつ、がんになるのか」を悩むべきです。
そして、男性の4人に1人、女性の6人に1人はがんで亡くなっています。がんの5年生存率は、2009~2011年の統計で、64.1%(男性62.0%、女性66.9%)です。すべてのがんの平均ですので、がんが発生する臓器、細胞の種類によっては、もっと高い生存率のものが多く存在します。
日本のがん医療が世界の中で遅れているのではありません。年齢構成で調整したがんの罹患率は、2010年頃からほぼ横ばいです。生きている以上、一定の確率で、人間は、がんになってしまいます。
一方で、がんによる死亡率は1990年代半ばをピークに減少しています。臓器別にがんを見てみると多くの部位で、生存率は増加しています。早期発見とがん治療の進歩のおかげです。