初対面の人との会話を盛り上げるには?

 それでは、初対面で円滑なコミュニケーションを展開するにはどうすれば良いのでしょうか?一つの対応策は、「驚く」という反応を意識することではないでしょうか?

 前々回の記事で「驚くことは誰もがいますぐ実践できる“聞き上手になる方法”です」と書きました。この記事を読んで、高校時代の友人がコメントを寄せてくれました。

 その中に、会話に入れる合いの手で「さしすせそ」が大事という話がありました。

さ:「さすがですね」

し:「知りませんでした」

す:「すごいですね!」

せ:「センスがありますね」

そ:「そうなんですか」

 といったような、驚きの言葉を入れるのです。銀座のママさんやキャビンアテンダント(CA、客室乗務員)の中には、この「さしすせそ」を意識している人がいたそうです。

 私も以前講義をしていた大学の授業で、盛り上げるために「そんな考え方もあるのか!」という言葉をよく使っていました。スムースに対話が進むと、こちらも気分的に楽になります。

 また別の高校時代の同級生は、カウンセリングを学んでいる時に「もっと驚きなさい」と言われて、「それは大変だね!」「おおごとだね!」というメッセージを表情とジェスチャーで伝えることを指導されることがあるそうです。それを通じて、「分かろうとしてくれている」「この人は味方だ」と思ってもらえる効果があるということです。

 私が20年以上前に、カウンセリングの講座を受けた時は、「傾聴」といわれる、ニュートラルに耳を傾けることが大切だという指導を受けた記憶があります。『クライシス・カウンセリング』(メンタルレスキュー協会、下園壮太著)では、穏やかな笑顔や相槌と並んで、「驚き」を込めたうなずきの大切さを主張しています。

 私自身も初対面の人に対するインタビューや取材においては、驚きを合間に軽く入れることを意識しているので、2人の友人のコメントに同意するとともに感謝したのです。

 相手を「褒める」というのは難しい場面もありますが、それに比べると、軽い驚きは割と簡単にできます。いろいろな場面の会話で、「驚く」ことを軽く挿入することを考えてみてはいかがでしょうか?

(構成/フリーライター 友清 哲)