
おじいちゃん役を任されて
どう思ったのか?
――『花子とアン』では男盛りの役でした。今回、お父さん役は飛ばして、おじいちゃん役。おじいちゃん役は俳優としては楽しみどころがありますか。
役者的にはおじいちゃん役の初心者です。とうとう自分もそういう年になったかという一抹の寂しさを覚えつつ、でも新しい分野は楽しみでもあります。
おじいちゃんですが、今田さんはじめ孫たち(今田美桜、河合優実、原菜乃華)に関しては、娘という感覚で接してしまいますね。孫というイメージがちょっと分からなくて(笑)。孫ほど年は違わないですからね。
僕はいま、66歳ですから……いや、ちょっと待ってよ? 下手したら孫くらいの年齢差になるのかな。
――現場ではどう接していますか。
現場では、そんなにたくさんお話ししていないんです。皆さん、物静かなんですよ。それに、やっぱり本質的には男である自分は、女性たちの中に入り込んではいけない何かがあるような感じがしまして。自分の親戚たちや家族であっても一歩引いて見ているところがあります。
――妻役の浅田美代子さんとの共演はいかがですか。
僕にとって浅田美代子さんは中学時代からのアイドルですから、毎回、現場で会うたびにドキドキしていますが、本当に気さくな方で、いっぱい話をして現場も盛り上げてくれるんです。
撮影が始まって1週間目くらいから『ダーリン』と呼ばれまして、舞い上がるような心地になりました。おかげで僕の緊張が解けて、浅田さんにひたすら感謝しております。
――釜次をどんなふうに捉えて演じていますか。
朝田家の人々のそれぞれの役割が明快なんです。頑固なおじいさん、優しいけれどちょっと厳しいお母さん、頑固なおじいさんを陰で支えている苦労者のおばあさん……と多くの人が共通して思う大家族の役割を担っていて。
頑固なお爺さんの釜次をもう少し細かく言うと、頑固だけれど、息子思いで孫思い、そして弟子思い。情に熱く、涙もろくて怒りっぽい。名前からわかるように『アンパンマン』のかまめしどんを意識した人物です。
『アンパンマン』のかまめしどんは本当にいいやつで、いいやつすぎるほど朴訥なキャラクター。そういう部分は釜次にもあるとは思うけれど、わざわざ似せる意識はあまりないかなと思っています。台本ではキャラクターを意識して描いているところもありますから、自然とかまめしどんに寄っていくのかなと。