学歴が「不幸への落とし穴」であることも

――メリットについてはよく理解できました。一方でデメリットはあるのでしょうか。

びーやま:あります。「学歴」が持つ最大のデメリットは、人生の目的がない人にとっては学歴がゴール地点になってしまう点です。

 先ほど学歴は人を幸せに近づけると言いましたが、それはすべて「未来を見て努力を重ね続ける」という前提条件を満たしたうえで初めて効果を発揮します。自分の未来を考えていない人は学歴を持っていたとしてもそのメリットを享受することはできません。

「チャンスを広げる」というのは、目標があって初めて意味がなします。目標があるからこそ、チャンスのなかで人は選択ができるわけですが、目標がなければ選択肢がいくらあったってなんの役にも立ちません。

――なるほど。わかる気がします。

 たとえるならば、学歴は「目標への特急券」なんです。持っていれば目標まで速くたどり着けますが、その目標が決まってなければそれはただの紙切れ同然です。

 その特急券を人生のどの目的地まで行くのに使うのかは本人次第です。学歴だけあって目的のない人は、「やった! 特急券が買えたぞ!」と券売機の前で喜んでいるだけに過ぎません。どんなときでも「目的>学歴」なんです。

――よく理解できます。とはいえ「学歴」で満足してしまう人はいそうですね。

びーやま:そうですね。多いと思います。ですが、学歴だけで幸せな人生が送れるんだったら、世の中にはもっと幸せな人だらけですし、大学の価値もさらに高まっているはずです。

 しかし、現状そうなっていないのは「学歴=幸せ」ではないことの証左だと思います。

 ですので、僕も学歴は好きですが、学歴がすべてだとはまったく思っていません。先ほど、学歴は目標への特急券だと言いましたが、その特急券(学歴)がなくたって、鈍行電車を乗り継いでいけば目標には必ずたどり着けます。世の中で学歴のない人がたくさん活躍しているのは、特急券がなくともコツコツ目標に向かって進み続けたからです。

 ですから、別に学歴がなくたって目標を達成することは可能です。

 このことを理解していないと、人は必ず学歴に支配されます。「名門大学に合格した! これで勝ち組だ!」と慢心し、自ら手に入れた特急券の使い方を忘れます。皆さんのまわりにも、いつまで経っても学歴しか誇るものがない残念な人がいるのではないでしょうか。

 学歴は自分の人生のためにどう使うかで価値が決まるものであり、それ自体に特別価値があるわけではありません。

 ですから、受験生にもまずは思う存分勉強してもらって、その先でも「自分はどうなりたいか」を考えていってほしいなと思います。

――詳しくお話しいただき、ありがとうございました。

びーやま[著]
教育痛快バラエティ番組・YouTube『wakatte.TV』のツッコミ担当。早稲田大学教育学部卒。高校時代の偏差値は37だったが、1年間の浪人を経て早稲田大学に入学。大学時代は起業・自主退学・復学など、さまざまな経験をしたのち、大学受験のすばらしさに気づき現在に至る。甘いルックスと鋭いツッコミ(たまにポンコツ)で視聴者の心を掴んでいる。決め台詞は学歴モンスターの相方・高田ふーみんを制止する「ヤメロオマエ」。

高田ふーみん[協力]
教育痛快バラエティ番組・YouTube『wakatte.TV』にて「学歴至上主義」を貫く学歴モンスター。京都大学経済学部中退(現役合格)。学歴を絶対の価値基準とする偏った思想を持つヒール役として受験生や大学生を中心に人気を博している。決め台詞は「Fランやないか」。