――だから辞めなかった。芸人である人生、芸人さんたちと一緒に居続ける人生を最優先にして、いろいろなことを選択してきたとおっしゃっていましたね(第1回)。
西堀:救いになったのが、地獄の底にいるような時も「みんなが地獄にいる。俺だけじゃない」という、いびつな安心感です。そこから辞めていく奴ももちろんいるんですよ。最初はちょろっと会うけど、そのうち会わなくなる。参加できなくなってくるから。そうやって芸人は減っていっちゃう。ライブで数少ないおじさん芸人を捕まえては話すんだけど、話し相手がいなくなっていくんですよね、だんだん。
逆・蜘蛛の糸~他の芸人から「続けててくれてうれしい」って言われる
滝沢:僕ら、他の芸人さんに「続けてくれててうれしい」って言われるんです。僕らも後輩には「続けてほしいな」と思います。ある程度やって、ある程度結果を残してほしい。なんとか芸人でいられるように。やっぱり、結果が出ないと辞めていっちゃうんですよね。マシンガンズが「お笑い成人式」で優勝した時、みんなが背中を叩いて喜んでくれたんです。優勝者へのビデオレターでも、ずっと一緒に頑張ってきたようなコンビがお祝いのメッセージを寄せてくれたりして。そういう体験が一つあると、頑張れるんですよ。
――芸人同士で競争して周りを蹴落としていくような発想じゃなくて、面白いことを追求しているみんなで楽しい思いを共有しようよ。売れることや売れないことすらも一緒に面白がっていようよ、というチーム的な発想に近いんでしょうか。
西堀:みんな地獄の底辺にいると、優しくなるというか、悟ってくるんです。「逆・蜘蛛の糸」じゃないけど、誰かが上に行く時に、そいつ一人だけでもいいから「お前は行け!」って下からみんなで押し上げるっていうか。だって、売れる人って何千分の一しかいないんですもん。芸人間で面白いと一目置かれるやつが必ずしも売れるとは限らないし。