滝沢:葛藤や悔しさがないと言ったら嘘になりますけどね。若いうちはライバル心がありました。でも、賞レースで残るとか、テレビで起用されるとか、これまで全く結果が出てなかったやつが結果を出すと「よかったな!」って。お互い1円の損得もしてない。そいつが売れたことによって自分たちに損はないから、純粋に頑張れって感じるようになるんです。

太田プロダクションの強みは、ダチョウ倶楽部のカラーかもしれない

――優しい世界ですね……。マシンガンズのお二人がいらっしゃった環境を考えると、もしかして太田プロという居場所の良さもありましたか?吉本興業のように多くの芸人さんを抱えて激しく切磋琢磨させるのとは違って、太田プロダクションはダチョウ倶楽部さんや有吉弘行さんら、すでに活躍する先輩方が後輩を大事に育ててくれるイメージがあります。

西堀:数が多くないのは強いですよね。竜兵会(故・上島竜兵さんが主宰した会)もそんなに数はいないですし、事務所の中にいくつも派閥みたいなものがあるわけでもない。ダチョウさんのカラーかもしれないですね、太田プロのカラーは。タニマチもいなくて、港区じゃなくて中野区で飲むっていうね(笑)。

 有吉(弘行)さんや劇団(ひとり)さんも、ここのそういうカラーで、先頭で風除けになってくれている感じがあります。有吉さんは芸人としての生き方や作法とかもちゃんと後輩に言ってくれる人で、例えば「これからも芸人続けるなら、それやっちゃダメだぞ」って。それにはエールの響きがあって。存在を認めてもらっているってことだと、後輩は受け止めるんです。

――芸人さん同士の関係性がそんなに温かいものだとは知りませんでした。お互い「面白い」と能力を認め合う職人的な人間関係みたいなものなのでしょうか。