マネージャーに下された“部下の選別”指令
ジェシカが知るかぎり、マスクの「オーディション」を受けた技術者はいない。
ただ、ツイッターサイトを動かすのにどうしても必要な部下をリストアップしろという仰せ付けがマネージャークラスには降りてきている。
このあたりで、マスクからも、ツイートという形や舎弟を通じる形で、なにをしようと考えているのか、方向性が打ちだされた。
長めの動画を投稿できるようにする、ユーチューブに対抗するためコンテンツのクリエイターに報酬を払う、新たな決済方法を導入するなどで、優秀な技術者がいなければ実現できないものばかりだ。
広告収益はどうなってしまうのか…
技術陣の混乱も心配ではあるが、ジェシカとしては、移行の戦略らしい戦略がないことが広告のクライアントにどう影響するのか、また、命の源である広告収益にどう影響するのかのほうが気になる。
だから、広告営業を束ねるロビン・ウィーラーがフロリダ州オーランドから急いで戻ってきたときには、グローバルセールス担当バイスプレジデントのJPマヒュー、最高顧客責任者のサラ・パーソネットとともに、混乱を生まないように最大限の努力をするからと、窓口として出稿企業にかかわる担当者をなだめてまわるなどした。
「マスクは謙虚だった」。でも社員たちの不安は消えない
ロビンは、マネージャー会議でマスクは「謙虚」に質問をしていた、学びたいと言っていた、「プロダクトの優先順位をまずは決める」と語っていたなど、この1日を総括するメッセージもスラックに流してくれた。
翌日にはアントニオ・グラシアスに会い、広告事業の概要をレクチャーする予定だという話もあった。
ロビンとしては、ツイッターを健全な状態に保つには広告産業の街マディソン・アベニューとの関係が大事であることを、マスクなら理解してくれるはずだと考えているらしい。
マスクがヨエルを高く評価し、安全性やモデレーションについて彼らがしている仕事はツイッターというプラットフォームに不可欠なものだと考えているらしいのも、その証拠となりうるだろう。
「さまざまな観点からモデレーションやアカウント復活を検討するコンテンツモデレーション委員会」なるものを立ち上げるつもりだとツイートしたほどなのだ。