登場人物全員それぞれに
『アンパンマン』キャラを当てはめている

 やなせたかしの心から生まれた『あんぱん』。のぶを見て『アンパンマン』の人気キャラクターのひとりドキンちゃんを思い浮かべる視聴者もいる。ヤムおんちゃんは外見からしてジャムおじさんのようだ。また、嵩の母・登美子(松嶋菜々子)もドキンちゃんのモデルではという声もある。

「やなせさんがドキンちゃんのモデルは暢さんでありお母さんだと言っていますよね。ふたりがきっと似ていたのでしょうね。

 また、バタコさんのモデルも暢さんだとどこかでおっしゃっているらしくて。女の人にはいろいろな顔がありますから、ドキンちゃんのように好奇心が強くてちょっとわがままな部分とバタコさんのような優しく支えてくれる部分、どちらの要素も暢さんにはあったのかなと思います」

 中園自身は『アンパンマン』と『あんぱん』のキャラクターを重ね合わせているのだろうか。

「私も、『あんぱん』の登場人物を書くうえで、『アンパンマン』に登場するキャラクターを意識しているんです。私ひとりの楽しみとして公開はしてはいませんが、登場人物全員にそれぞれ『アンパンマン』のキャラクターを当てはめて書いていて。

 端役に至るまでひとりひとり、『アンパンマン』の妖精たちに見立てています。ただ、あくまでもそれは私の趣味の世界で、そうしたほうが書いていて楽しいからなんです。

 例えば、釜次(吉田鋼太郎)はかまめしどんで、桂万平(小倉蒼蛙)がカツドンマン、天宝和尚(斉藤暁)はてんどんまん。そんな見立てを楽しみながら一生懸命描いています」

 とにかく一生懸命書いているという中園。やなせたかしの言葉をいまこの時代に伝えるために。好きなお酒も絶って、1日1話と課して『あんぱん』を書き続けている。

「1日サボると次の日必ずそのツキが回ってきます。お酒が大好きな私ですが、飲まないようにしています。たとえお酒を飲んでも二日酔いにならないようにセーブして。

 しかもいまは『あんぱん』の関係者としか飲んでいません。それも仕事の話をしながらです。最終回まで書き終えたら、ハメを外して飲みたいですね」

脚本家中園ミホが明かす『あんぱん』主人公を「やなせたかし」にしなかった理由なかぞの・みほ/脚本家。日本大学芸術学部卒業後、広告代理店勤務、コピーライターや占い師などをしながら、1988年に脚本家デビュー。2007年『ハケンの品格』で放送文化基金賞と橋田賞、13年『はつ恋』『Doctor-X 外科医・大門未知子』で向田邦子賞と橋田賞を受賞。『やまとなでしこ』、連続テレビ小説『花子とアン』、大河ドラマ『西郷どん』、『トットてれび』『ザ・トラベルナース』などの脚本を手掛ける。著書『占いで強運をつかむ』『強運習慣100』を発刊するなど、占い師としても活動もしている。 写真提供:NHK
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