これは筆者が日々実行してきたことです。男女間はもとより、企業の管理職、起業家、そして就職面接を受ける学生にも使えると自負しています。

自分をさらけだすことで
人と仲良くなれる

 相手と距離を詰めたいと考えるなら、皆さん自身の素の部分をさらけ出すのが近道です。筆者の経験則から申し上げれば、「自分をさらけ出さずして親しい関係なし」とも言えるものです。

 これが「開放性の法則」で、人は胸襟を開いて自分のプライベートな部分を見せてくれた相手に対して、好感を持ちやすいというものです。男女間で言えば、

「どこかエリートぶってて嫌な感じだったけど、運動音痴でカラオケも下手。ちょっと親近感が湧いてきた」

「覇気が感じられないと思っていたけど、大学ではチアリーダーだったんだ!」

 このように、自分の過去や得手不得手などを開陳することで、先に述べた「初頭効果」が芳しくなくても、好感度が上がるケースは多々あります。

 相手のプライバシーを、「高校では何部だったの?」とか「今、ハマっている趣味は?」などと根掘り葉掘り聞くのは抵抗がある場合、まず自分から語れば、相手も話してくれる可能性があります。そうなれば距離がぐっと縮まります。

「開放性の法則」はビジネスでも効果があります。

 筆者は、部下やプロジェクトチームのスタッフに、家族のこと、自分の過去の失敗、学生時代の話、趣味や特技、苦手な分野について隠さず語ってきました。その結果、

「怖いプロデューサーだと思っていたけど、子ども思いの優しいパパなんだな」

『知って得する、すごい法則77』書影『知って得する、すごい法則77』(清水克彦、中公新書ラクレ)

「音楽分野は強くないと思っていたけど、アルバイトで歌手をやっていたなんて意外」

 と、思いがけず好印象を持たれるようになった実感があります。

 取引先などステークホルダーとの関係においても、相手に色々な面を見せていれば、

「清水さんの言うことだから、仕方がないなあ」

 などと配慮してくれたり、こちらにミスがあっても穏便に済ませてくれたりするようになります。

 個人情報の管理にうるさく、表面的な対話で済む時代だからこそ、相手と距離を詰めたいなら、まずあなたから個人情報をさらけ出すことが重要なのです。