これが響いた。過去を振り返り、自分自身を見つめて出てきた課題は「被害者意識」だった。「自分が作った借金ではないのに、なぜ頑張らなくてはならないのか」という、それまで気づいていなかったネガティブな感情だった。

「そんな感情を持っているリーダーに、人は付いてきますか」とトレーナーに質問され、「自分がこんな心構えでいたら社員がかわいそうだ」と霧が晴れたかのような気持ちになった。

 気持ちが吹っ切れた状態になったとき、これからすべきことを明確化するという課題に取り組んだ。このときに作成したのが「危機管理リスト」だ。

 絶対に会社を守る。そのために、「父が死んでしまったら」「社員が大量に辞めてしまったら」「完全にキャッシュアウトしたら」など、あらゆる危機に対応できるように考え抜きながら作成した。加えて「足利銀行の支援がなくなってしまったら」という想定もした。

 そして、この想定がのちに現実のものとなる。大きな危機が訪れたときに会社を守ってくれたのは、このときに作った「危機管理リスト」だった。