「誤字脱字ゼロの人」が意識しているポイントはココ!
20万部のベストセラー、200冊の書籍を手がけてきた編集者・庄子錬氏。NewsPicks、noteで大バズりした「感じのいい人」の文章術を書き下ろした書籍『なぜ、あの文章は感じがいいのか?』(ダイヤモンド社)を上梓しました。
実は、周囲から「仕事ができる」「印象がいい」「信頼できる」と思われている人の文章には、ある共通点があります。本書では、1000人の調査と著者の10年以上にわたる編集経験から、「いまの時代に求められる、どんなシーンでも感じよく伝わる書き方」をわかりやすくお伝えしています。

【要注意!】一発で信頼を失う危険な「誤字脱字」とは?Photo: Adobe Stock

特に繰り返しチェックすべきは「会社名」「部署名」「役職」

誤字脱字が起きやすいパターンは、大きく3つあります。

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①タイプミス
誤字:「初めて」を「始めて」と書く、「井手さん」を「井出さん」と書く
脱字:「ご覧ください」を「ご覧ださい」と書く、「コミュニケーション」を「コミニケーション」と書く
衍字(余分な文字が入ってしまう誤り/「脱字」の反対):「お願いします」を「お願いいします」と書く、「宇宙飛行士」を「宇宙の飛行士」と書く
助詞の誤り:「は」と「が」、「に」と「で」などの間違い

②数字、データの間違い
単位、日付の誤り:「500万円」とすべきところを「5000万円」と書く、「3月31日」とすべきところを「3月13日」と書く
引用元との齟齬:引用元は「3200人」なのに、本文では「3300人」となっている
データの誤り:グラフの軸に誤ったデータを書いてしまう(たとえば「収入」の代わりに「支出」のデータを使用している)

③デザインの間違い(誤字脱字ではないが、注意したい)
先祖返り:修正したはずのデータがなんらかの原因で元に戻っている
同じものが入っている:同じ図表やデータがページを挟んで入っている
フォント、文字サイズの不統一:途中からフォントや文字サイズ(級数)が異なっている
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とくに経験したことがある人が多いのが「タイプミス」、とりわけ「人名」ではないでしょうか。

坂上田村麻呂や山片蟠桃のように長かったり難しかったりする名前の場合、自然と意識が向くので案外ミスしにくいもの。間違えがちなのは「同音異字の名前」です。

たとえば、ぼくの名前(庄子 錬)だと、「庄司」や「圧子」と書かれたことは1万回くらいありますし、ときには「庄司 練」と姓も名も間違えられることも。あまりに間違えられすぎて気にならなくなりましたけど、むっとする人はいます。

経験上、名前の「真ん中」または「最後」の漢字はミスしやすいので注意しましょう。

それから「旧字」にも意識を向けたいところです。

たとえば、「渡邊/渡邉」「齋藤/齊藤」「髙橋」など。第三者にとっては些細な違いに思えるかもしれませんが、正確に書けていないと印象悪化につながりかねません。安全に対処するには、1文字ずつ手打ちするよりもコピペするのがいいと思います。

あと、「会社名」「部署名」「役職(肩書き)」も慎重に確認しましょう。

とくに役職は社内外問わず、「課長」を「課長代理」、「常務取締役」を「取締役」などと書いたりすると、間違えられた側はけっこうイラッとするものです。「そんなのどうでもいいよ」と口では言っていても、内心では意外と気にしているので真に受けてはいけません。こういう些細なところからぼくたちの印象は左右されるものです。

複数人宛ての場合は、役職が高い順に記載するのがビジネスマナーです。これも不正確だと「常識がない人なのかな」と思われる可能性があります。

ちなみに、「社長様」「部長殿」みたいな「役職名+敬称」をときどき見かけますが、二重敬語なのでNGです。

名前や役職を間違えると、信頼関係にヒビが入りかねません。何度も見直すようにしましょう。ぼくは間違えて痛い目を見たことがあります。

庄子錬(しょうじ・れん)
1988年東京都生まれ。編集者。経営者専門の出版プロデューサー。株式会社エニーソウル代表取締役。手がけた本は200冊以上、『バナナの魅力を100文字で伝えてください』(22万部)など10万部以上のベストセラーを多数担当。編集プロダクションでのギャル誌編集からキャリアをスタート。その後、出版社2社で書籍編集に従事したのち、PwC Japan合同会社に転じてコンテンツマーケティングを担当。2024年に独立。NewsPicksとnoteで文章術をテーマに発信し、NewsPicksでは「2024年、読者から最も支持を集めたトピックス記事」第1位、noteでは「今年、編集部で話題になった記事10選」に選ばれた。企業向けのライティング・編集研修も手がける。趣味はジャズ・ブルーズギター、海外旅行(40カ国)、バスケットボール観戦。

※この連載では、『なぜ、あの人の文章は感じがいいのか?』庄子 錬(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集して掲載します。