「無断欠勤」と「欠勤」はどう違う?

 次の日の午後。C部長はD社労士と面談し、Aの件について詳細を説明した。

「詳細はわかりました。まずは甲社の就業規則を確認させて下さい。会社としては、Aさんの扱いをどうしたいですか?」とD社労士が尋ねた。

「とにかく無断欠勤はやめてもらいたい。もしこの状況が続くなら、試用期間中ですがクビにするしかないでしょう。休まれてばかりじゃ仕事になりませんからね」

 D社労士はC部長から就業規則を預かり、欠勤規定の内容を確認した。

「C部長の説明によれば、Aさんの欠勤届は規定通りに行われています。従って無断欠勤とは言えず、その理由で試用期間中に解雇するのは難しいですね」

 D社労士は、無断欠勤と欠勤の違い、試用期間中の対応、有給休暇の取り扱いについてC部長に説明した。

【無断欠勤と欠勤の違い】
・無断欠勤とは会社に連絡を入れずに休むことで、欠勤は事前に許可を得てから休むことをいう。

・就業規則には欠勤連絡のルールを定めている場合が多い。(例えば甲社の場合「欠勤する場合は、原則始業時間前までに直属上司に届け出なければならない」と明記している)
・無断欠勤は、労働契約や会社の規則に反する行為として懲戒処分や普通解雇の対象になりうる。就業規則には「無断欠勤の場合連続○○日以上で懲戒処分及び普通解雇にする」と明記されている場合が多い。

・Aのように、事前連絡さえ入れれば、何日でも欠勤していいかと言うとそうではない。理由にもよるが、本来の労働日に対して欠勤日数が多い場合は、労働条件の契約不履行(雇用契約時に締結した内容の労働を提供していないこと)として、就業規則による懲戒処分や普通解雇の理由として認められることがある。

 欠勤と無断欠勤の違いは、会社に連絡を入れるかどうか。甲社の就業規則には「欠勤する場合は、原則始業時間前までに直属上司に届け出なければならない」と明記されており、Aはこれを守っていた。しかし、事前連絡さえ入れれば何日でも欠勤していいわけではない。理由によっては労働条件の契約不履行として就業規則による懲戒処分や普通解雇の理由となりうる。

「ウチだって、新卒社員を辞めさせたくはないですよ。A君の欠勤理由がわかればそれなりに対処できますが、私やB課長がいくら尋ねても『どんな理由で休もうと自由だ』と反論します。でも会社としては、休む理由を聞くのは当然ですよね?」