洛北の青もみじを楽しみ尽くす

詩仙堂丈山寺(左京区)の門には「小有洞(しょうゆうどう)」の名がある詩仙堂丈山寺(左京区)の門には「小有洞(しょうゆうどう)」の名がある

 ここからは付近の社寺の青もみじを順に訪ね歩きましょう。金福寺から北へ歩いて6分の詩仙堂へ。叡山電車「一乗寺」駅から歩くと15分ほど。武将として徳川家康に仕え、関ケ原の戦や大坂夏の陣に参戦した石川丈山が、第二の人生を文人として歩むために開いた山荘跡です。

 英国王チャールズ3世が、皇太子時代にダイアナ妃(当時)と共に訪れたこともあるとか。白砂を囲むサツキの丸い刈り込みの背後に青もみじが寄り添う、風趣に富んだ庭園を室内から眺めた後は、備え付けのサンダルを履いて庭園を回遊してみましょう。

 詩仙堂から北へ4分、徳川家康が開いた学問所が起こりの圓光寺へ。砂紋を描く石庭に切り立った巨石がそびえる平成の庭園「奔龍庭」をへて奥の庭園へ。10の石を牛に見立て、人が悟りを開くまでの道のりを表した「十牛之庭」の青もみじは、言葉に尽くせない美しさ。書院の奥に座って眺めていると、悟りの境地に少しだけ近づけそう。庭には、竹林や洛北で最も古いとされる栖龍池(せいりゅうち)も。池にそそぐ小さなせせらぎの音や鳥のさえずりを聴きながら、変化に富む眺めを楽しみましょう。

圓光寺(左京区)の山門圓光寺(左京区)の山門。境内ではツツジのほか牡丹の花も見られた

 圓光寺から北へ十数分。天台五門跡の一つで紅葉の名所でもある曼殊院(まんしゅいん)門跡へ向かう参道を歩きます。そのままこちらで青もみじを楽しんでもいいのですが、参道から途中で小道にそれて、小さな森の中を通り抜けて鷺森神社へ。木漏れ日の差す森の中から見えてくるお社が何とも神秘的で、おすすめしたい散歩道です。

 鷺森神社は平安中期の創建と伝わり、現在の地には元禄2(1689)年に遷座。神様のお使いとされてきた鷺の群れが住みついたことが名の由来といわれ、比叡山の西麓一帯の産土(うぶすな)神として親しまれてきました。社名にちなんだ白鷺が羽ばたく姿を描いた麗しい絵馬にも注目です。青もみじは表参道の両脇に連なりますので、お参りをした帰りに通るといいでしょう。

紅葉の隠れ名所「鷺森神社」(左京区)は青もみじの名所でもある。こちらは表参道紅葉の隠れ名所「鷺森神社」(左京区)は青もみじの名所でもある。こちらは表参道