結局、4月2日に白井容疑者は米国に逃亡。県警はここに至ってようやく同30日、白井容疑者の自宅をストーカー規制法違反容疑で捜索。一部白骨化した性別不明の遺体が見つかり5月3日、DNA鑑定などで岡崎さんと確認された。
「ああ、だめだ。これは…」
県警の説明にあきれる記者
実は白井容疑者の親族が1月中旬、県警に「(容疑者が)殺してしまったかもしれない」という趣旨の話をしていた。それにもかかわらず、この情報も放置し3カ月以上、何の手も打っていなかった。そして海外逃亡されるわけだが、遺体が見つかって帰国するよう説得したのは容疑者の親族だ。県警は容疑者の親族の協力がなければ、逮捕できなかったと言っても過言ではない。
ここまで明白なストーカー事件だったにもかかわらず、県警は3日の記者会見で「ストーカー被害の相談を受けていたという認識はなかった」と強弁。県警としては「両者や家族の話を聴き、岡崎さんの意向も確認しながら必要な措置は講じてきた」と強調した。
そして、昨年12月に岡崎さんから「自宅近くをうろついている」という内容の相談が複数回あったのに「容疑者のところに行かない」「連絡を取らない」などのトンチンカンなアドバイスをしたと説明し、さらには「ストーカー被害の相談を受けていたという認識はなかった」と説明したあたりから、出席した記者からは「ああ、だめだ。これは」とあきれ果てた空気が流れたという。
ストーカー殺人の法制化は
桶川事件がきっかけ
とにかく、県警が事件を矮小(わいしょう)化しているのは明らかだ。冒頭に述べた通り、今回は誰の目に見ても「ストーカー殺人・死体損壊・遺棄事件」なのは明らかなのに、捜査本部さえ立っていない。
ストーカー殺人を巡っては、1999年に埼玉県桶川市で起きた事件を想起される方が多いと思う。大学生だった猪野詩織さん(当時21)や家族が何度も被害を訴えたが、県警に対応してもらえず殺害された事件だ。