必要最低限の資産を残し
それ以外は有意義に使う
死んだ後に財産を残す場合、争いの種にならないように遺言を準備するのは祖父母のたしなみですが、本当は生きているときにお金を生かして使うのが一番です。亡くなった時には大きな財産は残らないようお金を上手に使いましょう。
高齢期が長くなっているので生活の不安、介護の不安に備えるためにお金を貯めなければと考える高齢者が多いのですが、私はそうは思いません。お金は必要最低限は蓄えなければなりませんが、必要経費はしっかり支出し、もっと生活を充実させるために使うほうを優先すべきだと思います。
暑い時はクーラーをつけて熱中症にならないようにする、同窓会や趣味の会に出席するための会費や交通費は惜しまない、荷物があったり疲れているときはタクシーに乗る、こうしたお金は必要経費として支出しても良いと思います。無駄遣い、浪費はしてはいけませんが、生活に必要なお金は出し、幸せな時間を手に入れるお金を惜しまないようにしましょう。
中でも孫と一緒に旅行する、一緒に食事をする、頑張った時にご褒美をあげる、というお金の使い方は、孫にとっても祖父母にとっても良い時間、良い思い出をもたらすのではないでしょうか。そのほうが祖父母が死んだときに孫に相続させるお金を残すより、よほど良いと思います。お金をあげて孫だけが(友人と)旅行するのではなく、祖父母と一緒に旅行し、話をし、年取った人のサポートをする経験をさせましょう。
孫にお金をあげるのは自制しなければなりません。つい頼まれると出してあげようという気になるのですが、孫の欲しがるものをどんどん買ってあげるのは、本人の成長に良い影響を与えません。たまに買ってあげる場合も、高価なアクセサリーや着物などは孫の好みと合うかどうかわかりませんから、やめておきましょう。
「無形資産」として役に立つ
教育費をサポートするやり方も
例外は教育費です。
孫の教育はもちろんその親の責任ですが、教育費については祖父母がサポートしてもよいと思います。大学の授業料、専門学校の授業料など年々高くなっているので、祖父母が援助するのは意味があります。教育は孫の無形資産として、一生役に立ちます。
昭和女子大学でも入学式や卒業式にたくさん祖父母が見えていますので、授業料を応援されている方も多いのではないかと思います。私たち大学人は、そうした祖父母や保護者の期待に応えるように最善を尽くさなければならないと思っています。