純損益が赤字、かつPBR(株価純資産倍率)が1倍割れで、株価は「解散価値」すら下回る。そんな悲惨な経営状況なのに、報酬額がやけに高い社外取締役が大勢いたとしたら――。特集『社外取バブル2024最新版「10590人」の全序列』(全14回)の#4では、ワースト社外取300人の実名を公開する。株主総会シーズンを前に、「業績が悪いのに高報酬」の社外取がいないかどうかチェックしよう。ワースト10には、住友系企業の社外取である著名な経済学者や官僚OBがランクインした。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
不振企業99社300人の実名公開
ワースト10に大物経営者がずらり
東京証券取引所がPBR(株価純資産倍率)1倍割れ企業をターゲットに、資本効率改善の要請をしたのは昨年3月。それから日本株は上昇し、日経平均株価は一時4万円台に達した。
しかし、まだPBRが1倍に達せず、市場が評価する企業価値が「解散価値」すら下回っている企業は多数ある。東証プライム市場において、1倍割れ企業が占める割合は何と4割(2024年3月末時点)に迫るのだ。
PBRが低迷し、業績が赤字に陥っている企業の社外取締役は、真剣に職責を果たしているといえるのだろうか。しかも、そんな駄目企業の社外取が、会社側から多額の報酬を受け取っていたとしたら、株主としては納得ができないだろう。
ダイヤモンド編集部が、「純損益が赤字」かつ「PBRが1倍未満」の上場企業を調べたところ、149社が浮上した。社外取の人数は延べ453人だった。
今回のランキングでは、当該企業の推計報酬額、兼務社数、兼務先も含めた推計報酬額の合計、PBR、純損益の五つを評価軸として設定した。駄目企業の社外取なので、報酬額と兼務社数が多いほど低く配点。総得点が低い順にワースト社外取300人(企業数は99社)をピックアップした。
ワースト10には、住友系企業の社外取である著名な経済学者や官僚OBがランクインする結果となった。このほか、鉄鋼大手や電機大手の元トップらも入った。さらに財閥系で現役の首脳までいる。学識や経営経験が豊富な人たちのはずなのに、業績も株価も低迷する企業に来たら、何もできていないのが実態だ。
それでは次ページで、企業名と社外取の実名に加え、受け取った報酬についても見ていこう。