栃木県那須塩原市井口にある
3坪の私道を1万円で購入してみた
あくまでYouTube動画のネタのためであるが、僕は以前、栃木県の那須塩原市井口にある住宅分譲地の、分割された私道のみを1万円で購入したことがある。宅地部分はなく、私道の分割部分(3坪)のみが「売道路」として売り出されていた。

分割された私道であれ、あるいは私道全体を共有しているその共有持分であれ、一般的な不動産取引では、宅地の取引を行う際に、そうした私道部分も一緒に売買するのが普通である。売主にしても、ほとんど評価のつかない私道部分の権利だけ残されても仕方がないし、買主としても、私道の権利を有しないまま宅地部分だけを購入してしまっては、後々深刻なトラブルを招きかねないためだ。
そのため通常の不動産取引で、私道だけが置き去りにされてしまうことはあまり考えられないのだが、なぜかその分譲地だけは、前所有者は私道部分だけを所有し、肝心の宅地部分はその分譲地内に1区画も所有していなかった。
前所有者はその私道の切れ端を相続で取得していたので詳しい事情をまったく知らず、処分に困って、懇意にしている不動産会社に売却の依頼を行っていた。
僕が問い合わせると、不動産会社の担当者も、処分さえできれば仲介手数料を受け取るつもりもないらしく、固定資産税も掛からないようなので1万円を支払って購入することになった。
誰もいらない3坪の私道が
できてしまったワケ
所有権移転後、改めてその売道路の周辺の分譲地の公図や古い航空写真などを調べてみた。
1969年に開発・分譲されたその分譲地は、元々一団の分譲別荘地として東京の不動産会社が開発したものだが、その後、80年代になって、分譲地を分断する形で新しいバイパス県道が造られることになり、県道の拡張部分に該当する区画はすべて地元自治体が買い上げることになったようだった。
推測だが、おそらくその売道路の元の所有者(売主の父親)が持っていた宅地部分は、県道の建設予定地に含まれ、一方で分割所有していた私道部分は県道の予定地に含まれなかったため買取が行われず、それで私道部分だけが残ってしまったのではないだろうか。