言語化できていないリーダーの特徴
言語化スキルが不足しているリーダーには、共通する特徴があります。
まず、抽象的な表現を多用します。「しっかりやって」「もっと考えて」「気を付けて」といった言葉で指示を出しますが、これらの言葉は人によって解釈が異なるため、期待と結果にズレが生じます。
次に、自分の経験則や感覚に依存した説明をします。「なんとなくこうしたほうがいい」「経験上こうすべき」といった説明では、部下は納得感を持って行動することができません。
また、部下からの質問に対して「それくらい自分で考えろ」と突き放すことがありますね。
ほとんどの場合、これは「相手に考えさせたい」という教育的な考えではなく、「単に面倒だから」です。
リーダー自身が自分の考えを言語化できていないため、説明することを避けているだけ、というケースが多いです。
言語化スキルがマネジメントを劇的に変える理由
・期待値の明確化で部下のパフォーマンスが向上する
言語化スキルを身につけると、まず期待値を明確に伝えられるようになります。
例えば、「売上を上げてほしい」という漠然とした指示ではなく、「来月末までに新規顧客を3社獲得し、1社あたり平均30万円の受注を目指してほしい。そのために、週に10件の新規アプローチと、既存顧客への追加提案を月5件実施してください」という具体的な指示ができるようになります。
このように期待値が明確になると、部下は何をすべきかが分かるため、迷いなく行動できます。また、進捗も数値で把握できるため、リーダーも適切なタイミングでサポートや軌道修正ができるようになります。
・フィードバックの質が向上し、メンバーの成長が加速する
言語化スキルがあると、フィードバックの質が大幅に向上します。
これまで「もっと頑張って」としか言っていなかったとします。これを「今月の新規開拓件数は目標の20件に対して15件でした。残り5件を獲得するために、これまでアプローチしていない業界にも目を向けてみてはどうだろう? どんな業界にニーズがありそうか、案を3つ持ってきてください」という具体的なフィードバックができるようになります。
このような具体的なフィードバックを受けた部下は、次に何をすべきかが明確になり、成長速度が格段に上がります。
・チーム全体のコミュニケーションが活性化する
リーダーが言語化スキルを発揮すると、チーム全体のコミュニケーションも活性化します。
リーダーが明確に話すことで、部下も具体的な質問や提案をしやすくなります。「このプロジェクトを成功させるために、クライアントとの打ち合わせ頻度を週1回から週2回に増やしてはどうでしょうか」といった建設的な提案が出るようになります。
また、チームメンバー同士の情報共有も活発になります。リーダーが言語化のお手本を示すことで、部下も自分の考えや状況を明確に伝えるようになり、チーム全体の連携が向上します。
メンバーが自走しないのを、やる気の問題として捉えてはいけません。もちろん、やる気が足りていないメンバーもいるかもしれません。でも、仮にそうだとしても、リーダーは自分ができることに焦点を当ててほしいです。それがリーダーだと思います。