私の知っている餃子作りの何倍も手がかかる。「子どもがうまれてから、あんまり作らなくなったかな」というのもわかる。10分に一度やんちゃっ子たちの叫び声で中断するのだから。

 すべての餃子をゆで終えたら、皿に盛り付けだ。大皿にざざっと広げて上からスズマと呼ばれる濃いヨーグルトのようなものをかけて出来上がり。フォークで刺して食べる。

「おぉ…」

 思わず声が漏れてしまった。よく冷えたその餃子は、つるんとした食感が心地よく、中の卵あんはとろりとこぼれ出るようなクリーミーさ。バターをふんだんに使ったとろとろスクランブルエッグのようだ。そんなリッチな味わいなのに、冷たいからなのかさっぱりと感じて1つもう1つと手が伸びる。

そりゃうまいに決まってる…卵を世界一食べるメキシコ人が目玉焼きにかけている“驚きの具材”とは?『台所探検家、地球の食卓を歩く』(岡根谷実里、WAVE出版)

 夢中で食べていたら、次女のサビナが呼ぶ前にやってきて、私の横でもりもりと食べ始めた。長女のモディナもそのうちやってきて、競うように食べる。クリーミーでやさしい味わいの卵餃子は、子どもたちも大好物だ。

 それにしてもこれ、砂漠都市ヒヴァの暑い夏にぴったりな餃子だ。暑くて食欲のなくなる夏でも冷たくて口あたりのよいものなら素麺のようにつるんと食べられるし、卵は完全栄養食品といわれるほど栄養豊富だ。

 また、ウズベキスタンは毎日お茶を飲む国で、食事の時はほぼ必ずティーポットとカップが食卓に上る。餃子作りにまでティーポットが活躍するのもこの土地らしいではないか。

 日本の夏も、年々暑くなっている。来年の夏は、焼き餃子じゃなくてトゥンバラクかな。