水のようにごくごく飲める
フィンランドの牛乳
たとえば、1人当たり牛乳消費量が世界一の国、北欧のフィンランド。滞在していた家のおばあちゃんには、「フィンランド人は大人になっても赤ちゃんのようにミルクを飲むんだよ」なんて冗談半分に言われた。たしかに、一緒に生活していると、朝食だけでなく昼食にも夕食にも牛乳を飲む。
そして、世界一の牛乳国家ならさぞおいしいかと思いきや、これが水のように薄いのだ。水色の牛乳パックに入ったそのミルクは、さらさらと薄い無脂肪乳。慣れるとこれも飲みやすくていいかという気持ちになるが、正直物足りなさを感じる。
私が飲み慣れた3.6牛乳はというと、「あれは料理用。脂肪分が多いから飲むには不健康だよ」と言うのだから耳を疑った。
スーパーの牛乳売り場に行くと、三色の牛乳パックが並んでいて、3.6牛乳に相当するものは赤、乳脂肪分1.5%程度の低脂肪乳が青色、乳脂肪分1%未満の無脂肪乳は水色。買い間違えないよう各社共通の色分けがされていて、人々は次々と水色のパックを手に取っていくのだ。赤いパックは売り場の隅に小さく置かれているだけ。肩身が狭そうだ。
しかし、なぜわざわざ水みたいな牛乳を飲むのだろうか。初めは疑問で仕方なかったが、この地域は日本よりはるかにたくさんバターやクリームを食べるし、その上赤い牛乳をガブガブ飲んだら、たしかに乳脂肪の摂りすぎかもしれない。
それにそもそも、生乳からバターやクリームを作るために乳脂肪をとった残りが低脂肪・無脂肪牛乳なので、それを飲む用にしていると考えると、むしろ自然な選択だ。
ペルーで飲まれる牛乳が
ねっとりと濃い理由
南米ペルーの「普通の牛乳」は、その反対に濃かった。
「今朝のジュースはパパイヤと牛乳のジュースにしようか」と言って取り出された「牛乳」は、紙パックではなくトマト缶のような缶詰に入っていて、蓋を開けると中身はだいぶとろっとした白い液体。ぺろっとなめると、ミルクを煮詰めたように濃くて甘い。これを、カットしたパパイヤ、砂糖と共にミキサーにかけると、濃厚シェイク風味でうまい。