「難しいかな」と思い始めた頃、48歳の男性から見合いのオファーが届いた。お、40代からのオファーは珍しい、と思った。それまでの経験もあって、あまり期待せずに見合いに行くと、プロフィール写真より好印象な男性だった。

「この歳になって恥ずかしいのですが、実は女性と付き合った経験があまりなくて」と話す男性は、正直で不器用そうな印象で、好感を持った。「この人となら、もしかすると良い関係が築けるかもしれない」と感じ、何度か会った後に、交際がスタート。それは、まもなく、43歳を迎えようとしていた冬のことだった。

「良い人」だけれど……
交際1年でプロポーズを断る

 男性とは1年ほど交際した。食事に映画、ドライブ。大人の落ち着いたデートを重ねながら、少しずつ相手を知っていく。シンクタンクに勤務する男性は、几帳面で、こだわりが強い反面、不器用でシャイなところがある。自分と同様、仕事に没頭していたら、気づけばこの歳になっていたというタイプに見えた。

「良い人だな」という思いは、会うたびに増していったが、結婚して子どもを持つ未来は、どうしても描けないままだった。相手に対し、そこまで興味が持てていないことに、どこかで気づいてはいたのだが、プロポーズされたのを機に、「違う」とはっきり悟ったという。

「……って私、本当に最悪ですよね。結婚を前提とした出会いを斡旋する結婚相談所で出会っておいて、1年交際しておきながら、最終的に断るって。友達としてはいいけど、異性としては見られないということに、もう少し早くから気づいていたはず。なのに、私に好感を持ってくれる相手と別れるのが怖くて、ズルズル1年付き合ってしまった」

 別れた後の自己嫌悪感は大きかった。それでも、あのまま本心に蓋をして結婚するのは無理だったと思う。この別れを機に、結婚相談所のように、プロフィールや条件から入る交際はやめようと決めた。